第7話 超難問が来る…
部屋の中はしばらく無音のままだった。
実のところ、面接官たちは幸太郎に第二の問題を出すつもりなどなかった。最初の問題だけで彼を落とすつもりだったのだ。
しかし、今の状況ではそう簡単に彼を落とすわけにはいかなくなった。もし面接のパフォーマンスに基づいて点数をつけるならば、彼に満点をつけるべきだろう。いや、彼の能力を考えると、120点も足りないくらいだ。
「10秒であの長さの原稿を完璧に暗唱するなんて……どんな天才なんだ?」
パーソナリティの面接ですので、顔を採点基準に入れなくて大失敗だった。
もし幸太郎に満点を与えてしまえば、彼を採用することはほぼ確実になってしまう。筆記試験では彼の成績はそこそこだったが、他の20数人との差はほとんどない。それでも、面接では大きく差がつくのが常で、通常なら80点でも十分に高得点だった。
とはいえ、幸太郎には一つだけ問題があった。それは彼の外見だった。たとえラジオ局のパーソナリティであっても、時には顔を見せなければならない場面がある。イベントや公の場での露出は避けられず、見た目が良くなければリスナーの興味を損ねてしまう可能性があるため、外見や身長も重要だ。
菊池は少し考え込みながら、平田に視線を送った。
「平田さん……どう思う?」
平田はため息をつき、幸太郎に向かって重々しい声で言った。
「幸太郎君、君は非常に優秀な人材で、放送学科卒ということも大変よい。しかし、残念ながら、選ぶポジションを間違っている。外見が大切なこの業界では、君の見た目では非常に厳しいんだ。大学の先生も、君に同じようなことを言ったはずだと思うが、放送の世界では顔が大事!」
「そこでだ、君にもう一つ提案がある。第二の問題は出さずに、別のポジションを紹介しよう。ラジオ局には裏方の仕事がいろいろある。君がどの仕事を希望しても、私はそれを通すつもりだ。明日からでもすぐに働ける。だが、パーソナリティとして、君の条件では難しい。どうか、考えてみてほしい。」
幸太郎はすぐに返答した。
「ご提案ありがとうございます。ですが、僕はやはりパーソナリティとして働きたいんです。」
彼はこの夢にこだわっていた。それ以外の仕事を選ぶのであれば、とっくに別の道に進んでいただろう。彼はずっとこの道を諦めずに追い求めてきたのだ。
「頑固だな、君……」平田は少し眉をひそめた。
菊池も、幸太郎の固い決意にため息をつき、少し怒りを交えて言った。
「ならば仕方ない。第二の問題に進もう。私は外語ラジオ放送の責任者だ。英語のパーソナリティはすでに十分が、今回、私はドイツ語ができる人材を求めている。君がドイツ語で一編の詩を作って、私たちを満足させられたら、その時点で面接合格としよう!」
「ドイツ語で詩を作る?」幸太郎は驚いた。
平田は黙って菊池の顔を見ていたが、彼女の意図を理解している様子だった。幸太郎の能力は確かに高いが、外見や経験不足を考慮すると、この難題を乗り越えるのは不可能だと判断していたのだ。
「どうだ、木谷君?まだ反論の余地はあるぞ。」
平田は両手を組み幸太郎を見つめながら言った。
「もう一度考えてみないか?」
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