第5話 ロードができるって?!マジ人生ゲーム!

 ロードが始まった瞬間、幸太郎はまず周囲の気温の変化を感じた。

 「さむっ」

 「10時に面接だ、急ごう!」

 「田中、そんなに急がなくても大丈夫だよ。君なら確実に受かるだろう。」

 「それがね…。今回のパーソナリティの枠は2人しかないんだ。聞いた話だと、筆記試験に合格したのが20人以上いて、競争が激しいみたいだよ。」

 「そうか、確かにパーソナリティは人気職だからな。私と井下はそれほどプレッシャーはないけど、私は編集を希望して、井下は運営を希望しているから、競争はそれほど激しくないし、募集人数も多い。」

 幸太郎が目にしたのは、先ほど彼が体験したまさに同じ光景だった。全く同じ場所、同じ会話。まるでデジャヴのように、彼は再びラジオ局のビルの前に立っていた。携帯の時間を確認すると、本当に30分前の時点に戻っていたのだ。

 一度冷静に考え直し、今はこの不思議な「ロード」の仕組みを深く追求する時ではないことに気づいた。このパーソナリティのポジションを確実に獲得しなければならない。一度だけの「セーブ」は幸太郎に「やり直し」のチャンスを与えたのだ。このチャンスを逃してはならない。

 すぐに幸太郎は携帯を取り出し、インターネットで検索を始めた。先ほど面接で出された問題の最初の部分を覚えていたので、どうやらそれは法律の条文であることがわかった。すぐに検索結果から「著作権法第38条」の結果が出て、どうやら面接官も特に選んだ内容ではなく、手近なものを引っ張ってきたようだ。

 残り時間は約25分。幸太郎はすぐにその1,000字の原稿を丸暗記し始めた。長文ではあったが、難しい古典や詩ではなく、合理的で簡素な文章だったため、大学での法律の勉強も少し触れたので、比較的スムーズに覚えることができた。

 「これを覚え切らなければ、この面接には勝てない!」 彼は必死に暗記を進めた。


……


 面接会場の廊下。

 助手がドアを開け、リストを見ながら呼んだ。「幸太郎さん、どうぞ。」

幸太郎は頭の中で振り返えながら、口ずさむようにして廊下の端から歩いてきた。

 「はい、今行きます!」

 助手は少し怪訝そうな顔をした。今まで何百人もの面接者を見てきたが、面接前にこんな風にブツブツ口ずさみながらやってくる応募者は初めてだった。

 部屋の中では、面接官たちが休憩の合間にお茶を飲みながら雑談していた。

 「このグループ、全然質が良くないわね。」40代あたりの女性菊池智子は失望して言った。

 「その通りだな。前回の面接よりもずっとレベルが低い。筆記試験が良くても、実際の能力が伴っていない。」彼女よりやや年上の平田雄二も頷いている。

 背後に座っていた若手面接官も「二人とも、後ろにまだ何人かいますし、もう少し期待しましょう。」と言いながら加わった

 「そう願いたいものだが、正直期待薄だな。先ほどの小山君はまあまあだったな。良い人材が見つからなければ、あの子を取ろうと思っている。」

 「小山君、確かに悪くないわね。」

 と相槌を打つ平田と菊池。

 その時、ノックの音がして、幸太郎が入ってきた。

 面接官たちは話を止め、彼に注目した。

 「皆様、こんにちは。」

 幸太郎は前回の面接で自己紹介を遮られたことを覚えていたため、今回は少し違う方法を試してみた。彼は少し開き直り、軽く冗談を交えて言った。

 「本名は木谷幸太郎です。」

 「ほう、芸名もあるのか?」平田は笑いながら突っ込んだ。

 「ええ、二つほど芸名を持っています。木谷優アと木谷えいミです!」

 この世界には「優ア」や「えいミ」の二人のがないため、面接官たちは彼の言葉の意味を理解できず、知らないうちに幸太郎の冗談に乗せられていた。

 菊池は幸太郎の言葉に特に反応せず、履歴書を見下ろしていた。

 そして、同じように最初の問題が出された。当然幸太郎はすでに知っている。

 すでに1,000字の原稿を丸暗記していた彼は自信満々に勢い良く「はい!」と返事した。

 面接官たちは驚きの表情を浮かべ、予想外の展開に圧倒された。

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