ビッグスター~10%だけ違う世界!この10%の差で俺は芸能界で無双する!

揉みサリア

第1話 10%だけ違う世界

 木谷幸太郎は、自分の人生がとても素晴らしいものだと思っていた。

 先月、彼は東京ドームで32回目のソロコンサートを開催した。

 数日前には、国連事務総長のカラハンからディナーに招待された。

 昨日は、ハリウッドのSFアクション映画『宮本武蔵伝』の主役出演要請を受けた。

 優れたアーティストとして、幸太郎は感慨深いものを感じていた。

 彼の人生に何か後悔があるだろうか?

 全くない、まさに完璧だ。

 強いて何か欠点があるとすれば、それは彼が未だに大げさに話す癖を直せていないことだろう。

 ということで、以上のことはすべて嘘である。

 実際幸太郎は、大学を卒業したばかりで、広い世界の中ではごく普通の存在だけで、いわゆる凡人だ。

 しかし、彼の夢はスターになることは変わらず、それが司会者、歌手、作家であれ、有名になれば何でもよかった。

 しかも、彼はただのスターでは満足できず、世界で最もトップのスターになることを生涯の目標として掲げ、これまでずっとその夢を追い続けて来た。

 明日は、東京新声ラジオ局の司会者の面接が控えており、彼は非常に緊張していた。緊張のあまり、夜中に6回もトイレに行ったほどだ。

 寝坊したせいか、彼は奇妙な夢を見た。夢の中には、数行の立体文字が浮かんでいた:

「ゲーム、インストール…」

「プレイヤー確認中…」

「インストール完了。あなたはこのゲームの唯一のプレイヤーです。このゲームは、プレイヤーの夢を実現するためのゲームです。

「プレイヤーの夢を確認済み。」

「設定終了。メインターゲットはプレイヤーが世界で最も偉大なスターになること。」

「難易度:アルティメイト」

「初心者ボーナス抽選中。しばらくお待ちください。」

「ボーナス:『現実世界の背景をランダムに変更』を獲得。」

「5…4…3…2…1…ゲームスタート!」

 次の日の朝、東京。

 家の中で、起きたばかりの幸太郎は昨晩の夢について考えながらあくびをし、テレ ビをつけてニュースを見ていた。すると、彼は自分の左手の小指に見知らぬ銀の指輪がはめられていることに気づいた。

 それは間違いなく彼の物ではなかったが、必死に指輪を外そうとしても、どうしても取れなかった。それだけでなく、指で指輪をこすっていると、仮想画面が浮かび上がり、夢の中と同じフォントで

「ゲームリング起動」

「初心者ボーナス『現実世界の背景をランダムに変更』、ただ今準備中」

と表示された。

「3秒…」

「2秒…」

「1秒…」

「ボーナスの実装、開始!」

 そして、幸太郎は驚愕の光景を目にした。

 ベッドに置いてあったiPho〇eが突然ねじ曲がって新しい形に変わり、リンゴのマークも欠けたスイカに変わってしまった。

 窓際に置かれていた二冊の推理小説も異変が起こる、一冊が消え、もう一冊は詩集に変わっていた。

 部屋の中の多くの物が変化していたのだ!

 最も衝撃を受けたのは、テレビの異変だった。

 彼が使っていたゾニーのテレビは、「新星」という見知らぬブランドに変わり、放送されている内容も全く理解不能!

「TBCの新しいバラエティ番組『人間監視バラエティ』の視聴率が21%を突破しました。」

「人気俳優の佐藤光希の最新映画『白い蝶』の興行収入が100億円を突破しました。」

「世紀の歌姫南条美智の新曲が再び失敗し、映画界への転向が検討されています。」

「昨日、世界的有名な画家青木達の作品『青空』がニューヨークでオークションにかけられました。」

「日本で最も影響力のある大俳優谷口賢一の没後10周年記念コンサートで、多くの芸能人が歌を捧げ、田中亮がステージ上で感動し、涙を流しました。」

 幸太郎は茫然とした。テレビに映るこれらの名前や出来事は、すべて彼には馴染みがなかった。

 南条美智?いつからこんな歌手が出てきたんだ?

 10周年記念コンサート?谷口賢一って誰?

 『白い蝶』ってどんな映画?

 幸太郎は慌ててベッドから飛び起き、カーテンを開けて外の景色を確認し、周囲の風景も変わっていた。

 道路脇の桜の木が消え、整えられた花壇に変わっていた。遠くから見える高層ビルは6階建てのマンションに変わり、灰色の建物が位置だけでなく、階段の色までも茶色になっていた!

「ピッ!」

「ボーナスの実装完了!」

効果:現実世界の背景がランダムに変更、合理性に問題ない。

 幸太郎の顔は青ざめ、彼は急いでスイカに変わった携帯を手に取り、確認したが、日付や時間は変わっておらず、今日は彼が大学を卒業してから2ヶ月目の日だった。

彼は電話帳を何ページかめくり、数人の知り合いに電話をかけて確認したが、友人や家族は変わっていなかった。

 しかし、周囲の状況はどう説明すればよいのか?それに、手にあるこのゲームリングは一体何なのか?本当に現実を変えてしまったのか?

 幸太郎は信じられず、パソコンでネットを見てみると、見るほどに驚き、恐怖に震えた!

 変わっていた! すべてが変わっていた!

 日本の芸能界には、木村〇哉も浜崎あ〇みもない。

 世界の音楽業界に、テ〇ラー・スウィフトやエド・シー〇ンのような大スターも存在しなかった。

 文学界でも村上〇樹はおらず、東野圭〇の小説も消えていた。

 海外の映画『パリーポ〇ター』やベートーベンのピアノ曲『運命』、さらにはダ・ヴィンチの『モナリザ』さえも、すべて跡形もなく消えていたのだ!

 これらすべてが、彼がゲームの唯一のプレイヤーとして引き当てたボーナスだったのか。

  現実が、本当に変わってしまったのか?

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る