4TH LIVIN'

Garm

4th Livin'

 一度目は他意。

 まっすぐこちらを睨んだまま、彼女は叫んだ。

「アンタ、鬱陶しいのよ」

 同級生がカッターをこちらに向けている。善意のまま接していたら、仇返しで死にかけた。残機マイナス1。


 二度目は偶然。

 通りかかったトラックが、目の前に突っ込んできた。

「生きてるのが奇跡だ」

 先生はそう言った。裂傷の跡が顔に残った。残機マイナス1。


 三度目は故意。

 アパートの六階から飛び降りた。

「飛んでる間に満足に腕も振り回せないようじゃ、鳥にはなれないな」

 そんなことを考えていた。親は泣いていた。残機マイナス1。


 あらかた全部で死にかけて、通算四度目の人生である。

 なぜかここまでやっても死なないので、私はとっくに生きるのを諦めることを諦めた。

 私が猫なら、あと四回は死ねる。

 さて、今日は何をしよう。

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