PS期のスクウェアRPGプレイメモ

矢木羽研(やきうけん)

はじめに(自分語り)

 1990年代も後半になると、PS(プレイステーション)派かSS(セガサターン)派かなどという言葉はすっかり廃れていた気がする。ファイナルファンタジー(以下「FF」)シリーズが最新作である『7』をPSで独占発売すると発表されてから、世間はPS一色になり、SSはマニアが持つセカンドハードのような扱いになっていた。


 一方、その頃の私はこの風潮についていけなかった。PSが嫌いなのではなく、ロード時間のわずらわしさや、ゲーム性よりも映像美ばかりをアピールする業界の姿勢に、これでいいのかと思っていた。当時はちょうど中学生で、反骨心も強かった。たとえばこの年ごろになると、メジャーな音楽への抵抗感を示すようになった方も多いだろう。私にとって、その対象は「次世代機(当時、PSとSSを総称してそう呼んだものである)」のゲームだった。それも、スクウェアのFFシリーズを筆頭とするメジャータイトルだ。


 当時、私はゲームボーイの『ポケットモンスター』シリーズに大ハマリしていた。純粋にゲームの面白さに惹かれたのもあるのだが、『FF』シリーズのようなメジャータイトルに反発する気持ちも間違いなくあった。いやポケモンも十分メジャーだろうと今の方は思われるかも知れないが、売上はあってもメディアでの扱い(特に非ゲーム系の業界分析など)は非常に軽かった。


 雑誌や攻略本などのインタビューで、『ポケモン』関係者は「大容量ムービーなんかいらない、ゲームボーイのスペックでも面白いものはできる」などと再三語っていたと思う。当時の若かりし私は、それに大きくうなづきながら「プレステなんかよりよっぽどゲームボーイのほうが面白い!」と、周囲に語りまくってた気がする。


(実際にはPSソフトも、ポケモンをはじめとする任天堂ゲームも両方遊んでいた子供のほうが多かったとは思うのだが)


 もちろん友人や兄弟を通じてプレイを見たり、ちょっと触ってみる機会がないでもなかったのだが、映像美よりも何よりもロード時間に耐えられなかった。起動時の数十秒はまだいいとして、戦闘シーンに切り替わるごとに数秒、マップを移動するごとに数秒、とにかくゲームがブツ切れになる。これではまともに遊べたものではないと思った。そんなわけで、テレビを横目に見ながらゲームボーイばかりで遊んでいた覚えがある。


 しかし大人になって改めてゲームの歴史などを調べてみて、やはり「あの頃の輝いていて尖っていたスクウェアを無視してRPGの何が語れようか」という気持ちが強くなってきた。ちょうど手元にPS3(PS1のディスクも再生可能で、アーカイブスでDL版もプレイできる)があり、まとまった時間が作りやすくなったので、改めて青春時代にやりそこねた体験を拾いに行こうかと思う。

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