黄金色の稲穂5

 休憩を終え、また田植え作業に戻ったカワズ殿たちは、苗を次々と田んぼに植えていった。

 時間が経つにつれて、田んぼ一面が青々とした苗で埋め尽くされていく。

 カワズ殿たちの歌声が風に乗って響き渡り、それが遠くまで届いていく。

 アサギも自然とそのリズムに身を任せて、黙々と苗を植え続けた。

 やがて田植えが終わる頃、気がつけば季節はすっかり夏に移り変わっていた。

 陽光が強く照りつけ、田んぼの水面が眩しく輝いている。


 作業を続けているうちに、季節はあっという間に進み、春から夏へと変わっていた。

 時間が飛び去るように、瞬く間に季節が移り変わったが、アサギは目の前に広がる田んぼの様子がいつの間にか夏の風景に変わっていたことに、ほんの少しだけ不思議に思うだけだった。

 夏の田んぼは、活気に満ちていた。

 田んぼの中で青々とした苗がしっかりと根を張り、風にそよそよと揺れている。

 水面には小さな波が立ち、日差しを反射してきらきらと光を放っていた。

 田んぼ全体が生きているかのように、豊かな緑が大地を覆っている。

 夏の強い日差しの下、田んぼに植えたばかりの苗はすでに青々と成長し、風にそよいでいた。


「やっぱり夏の田んぼって、いいもんだよなぁ」

 と、一人のカワズ殿が空を見上げてぽつりと呟くと、他のカワズ殿たちも頷いた。

「この緑の広がりを見てると、何だか元気が湧いてくるっぺよ」

 カワズ殿の一人は、田んぼ一面に広がる青々とした苗を見つめながら、心の中に満ち溢れる誇らしさを感じていた。

 自分たちの手で育て上げていくこの風景は、彼らにとって特別なものなのだ。

「ほれ、アサギ殿、これがわくどの大事な仕事だがて」

 と、にこりと笑いながら、田んぼの苗を見渡すカワズ殿の顔が、どこか誇らしげだった。

 陽の光が田んぼを照らし、時折、風が吹くたびに苗が波打つように揺れる。

 その涼やかな風に包まれながら、カワズ殿たちは楽しげに話し合い、時折冗談を飛ばし合っていた。

 アサギはその姿を見ながら、ただ静かにその景色に溶け込んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る