第16話:現世に帰ってきた遊月と遊星。

「この勾玉、死返玉(まかるがえしのたま)って言って勾玉を握って呪文を

唱えると死人が生き返るって、とっても重宝な勾玉なの」


「へ〜そんな奇跡みたいなことできちゃうんだ」


遊月は遊星に死返玉(まかるがえしのたま)を握らせておいて、秘密の呪文を

遊星に教えた。


「いい?遊星、願いをこめてこう言うの」


「ふるべ ゆらゆらと ふるべ」


「分かった?・・・分かったら死返玉を握りしめたまま大きな声でそう唱えて」


遊星は遊月に教えてもらった呪文を大きめの声で唱えた。


「ふるべ ゆらゆらと ふるべ」


すると遊星の体が光はじめた。

光は一瞬スパークすると、そこに遊星が倒れていた。


「遊星、大丈夫?」


そうこうしてるうちに洞窟を抜けて死霊や魍魎・・・化け物たちがいなくなった

遊星を追って、うじゃうじゃやって来た。


「あ、化け物ちゃんたちが来ちゃった」

「遊星起きて・・・起きてってば」


そう言うと遊月は遊星のほっぺたを思い切りビンタした。


「いって〜・・・」


「目が覚めた遊星?・・・魂が戻ったみたいね、よかった・・・」


「それよりやっぱり化け物ちゃんたちが私たちを追って来てるよ」

「わ〜化け物ちゃんたち何人いるのよ」


「俺は?生き返ったのか?」

「たぶんね、もし生き返えらないまま現世に帰ったら魂のまま空中を彷徨う

ことになるだけだからね・・・でも大丈夫みたい、私分かるから」


そのまえにあの化け物ちゃんたち、やっつけちゃうから待ってて。

そう言うと遊月は三日月丸を引っさげて化け物たちのところへ向かった。


遊月は攻めてきた化け物の先頭のグループを三日月丸で真横に振るって一気に

首をなぎ払った。

すると何個もの首が見事にスポーンと上に向かってすっ飛んだ。

それを見た後ろのグループがビビって右往左往しはじめた。


「あななたちも首を切り飛ばされたくなかったらおうちに帰りなさい」


「すげえ、遊月ちゃんこわ〜・・・いいの?あれって殺人と違うの?」

「俺の彼女ってあんな凛々しくて容赦ないキャラだったっけ?」

「まあ、容赦は最初っからなかったか?」


化け物たちは悲鳴をあげて洞窟の向こうに退散していった。


ひとまず安心と遊月那姫ゆづきなひめと遊星は異界神獣鏡で黄泉比良坂から

急いで現世に帰ってきた。

帰ったところは遊星のマンションのリビングだった。


「遊星?・・・生きてる?」


「生きてるみたい、人間の形を留めてるところを見ると成功したみたいかな?」


「相変わらずのんびり屋、緊張感まるでなし」


「だって俺、遊月ちゃん信じてるもん」


「そうだね・・・遊星生き返ってよかった・・・ほんとに、よかった」


そう言って遊月は遊星に抱きついた。


「お〜っと・・・とっとっと・・・」

「これで二度目だよな、遊月ちゃんに命救われたの・・・」


「私の大事な召喚士がいないと困るからね」


「遊月がここにずっといてくれたら呪文唱えることもないし、召喚すること

もないよ」

「俺、反省だな・・・もっと強くならなきゃ、クラスの女子にヘタレなんて

言わせないようにさ」


「いいの、遊星はそのままで、そのままの遊星が私は好きなんだから」


「あの、現世に戻ったらエッチさせてくれるって言ったの本当?」

「なに?さっそくそれ?」


「生きてるうちじゃないとできないだろ?」


そう言うと今度は遊星が遊月を引き寄せて抱きしめた。


「帰って早々は疲れてるしせわしいから、ちょっと休憩挟んでエッチね」


「しょうがないスケベね」


つづく。


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