第12話:男を連れ込んだ?遊月ちゃん。

さて人間界へ行ってしまった遊月那姫ゆづきなひめがなかなか高天原に帰って来ないので遊月の

許嫁「世戸御雷よこみかづち」が心配して人間界にやってきた。


同じ神霊である世戸御雷よこみかづちには遊月のいる場所は分かっていた。


その頃、遊星は遊月を家に置いて学校にいた。

遊月との同棲生活は、知らないうちに隣近所に知られていた。

まったく拡声器のようなおばちゃんが近所にいるとめちゃ迷惑。

そのうち近所のスーパーのレジのおばちゃんにまで知られていた。


まあとりあえずは学校までは知られることはないだろうと遊星は思っていた。

でも壁に耳あり・・・人の噂に戸は立てられない。

なわけでクラスの中の最低なやつが遊星んちに金の無心にやって来るようになった。


「遊星、いくらか金貸してくんない?」


「おまえに貸す金なんか1円だってないわ」


「あれ、彼女ちゃんとのこと、くっちゃべってもいいのかな?」

「おまえ、高校生の分際で女囲ってるなんで学校に知れたらまずいんじゃね?」

「どこかからおまえらの関係、屁みたいに漏れるかもな・・・」


「ふん、漏らしたかったら漏らせ」

「そりゃ俺だっていい加減な男だしオタッキーだけど人間としてのレベルで

言うなら、おまえよりは上だと思ってるけどな・・・」


「俺よりレベルが低いおまえの脅しなんか聞くわけないだろうが、バーカ」

「一度でもおまえに心を許すと恐喝が続くことは分かってるんだよ」

「遊月ちゃんにならケツの毛まで抜かれてもいいけどな・・・」


「まあ、おまえはいいよな、クラス全員の女子にフラれても、それ以上の

彼女を手にいれたんだからな」


「クラス中の女子全員相手にしても遊月ちゃんの魅力は誰にも勝てないわ?」


「遊星を揺すろうとしたそいつ、結局遊月ちゃんに記憶を消されて若年性アルツ

ハイマーになった」


ある日のこと、遊星が学校から帰って来ると遊月ちゃんから話があるって

言われた。


「あのね、遊星、困ったことができちゃったの」


そう言って遊月は遊星の手を引いて玄関からリビングへ連れて行った。

遊星はそこで見知らぬ男を見た。


その男は長髪を後ろで結んでいて小太りで背はめちゃ低くて偉そうにアゴヒゲ

なんか生やしていた・・・。

こいつ誰?・・・いったい何者で?歳は何歳って遊星は思った。


「だ、誰?この人?」

「え?ま、まさか〜遊月ちゃん、俺のいない間に男連れ込んでる?〜〜〜〜」


「違うよ・・・聞いて」


「もう俺に飽きたんだ・・・」

「勾玉までもらって誓い合ったのに・・・」


「なに?勾玉をこの男に渡したのか?」


小太りでちっこい男がしゃべった。


「ちょっと世戸よこちんは黙っててくれる?」


「この男ヨコチンていうのか?」


「ああ正式には「世戸御雷よこみかづち」って言って私の許嫁」


つづく。


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