「やなデッキだけど、負けねぇからな!!」/「悪には悪を」
「俺のターン、ドロー!」
百火 第二ターン
ライフ:10
手札:6 ターンカウンター:2
残りデッキ枚数:44
「【烈炎の
【烈炎の
赤 コスト:2 炎・野獣
A:1 B:2
このモンスターが場にいる限り、自分は名称に火または炎が付くモンスターのコストを-1しても良い
人が乗れそうな程に大きなイタチが頭上から飛び降りてくる。
真っ赤な毛並みで目にはメラメラと炎が宿ってるみたいに光が揺らめいている。
「コストが1少なくなってコスト0となった【烈火ネズミ】をサモン!バトルだ!!」
俺の宣言と同時に走り出すのは二体の背が燃えているネズミだ。
走りづらそうにキノコたちの間を駆け抜けて、鬼の奴にぶつかって行く。
「【烈火ネズミ】二体で攻撃する時にデッキから【燻火の守り人】と【
「……【
「こっちも【
菌類庭園の鬼 ライフ:10→9→8
百火 ライフ:10→12
「さらに【
「……【
駆け出した赤いイタチの行く手を遮るように出てきた白いキノコが、その胞子を振り掛ける。
黒いイボだらけのキノコも加勢するように胞子を掛けてきて、赤いイタチはくしゃみが止まらなくなったようで攻撃をやめてしまった。
しかも、そのくしゃみの隙にキノコが俺のデッキにも胞子を掛けてきてカードを二枚破棄していった。
「……破棄した、二枚のカードのコストだけ…互いのライフを回復する」
「くっ……破棄したのはコスト2の【
百火 ライフ:12→18
菌類庭園の鬼 ライフ:8→14
一気に回復されたライフと削られるデッキによって鬼の奴の戦い方が分かった。
デッキ破壊……多分、戦闘をする気が全く無い、完全にデッキを破壊する事に特化したタイプだ。
「やなデッキだけど、負けねぇからな!!ターン終了だ!」
「……俺の、ターン」
考えているようで顎に手をやる鬼……手札と場、そして俺の方を見てからまた動き始めてきた。
「……カウンターブースト」
菌類庭園の鬼 第二ターン
ライフ:14
手札:2 ターンカウンター:4
鳴り響くのは哄笑と草木のざわめき。
溺れそうな程の空気に満ちた湿気でじっとりと服が湿ってきて、不快感を煽ってくる。
「……
場に降り立つのは鬼の奴の"ギアスモンスター"……黒い翼を広げて、ニヤニヤとこちらを見下ろす鼻の長いモンスター【オニテング】
「来やがったな……!」
「【
【無限増殖ーグリーンハザードー】
緑 コスト:4 スペル
このスペルを手札から発動する時には手札を一枚破棄しなければならない。
カードの種別を宣言する。デッキの上から五枚を互いに確認し、その中から宣言した種別のカードを全て手札に加えて残りを破棄する。
【無限増殖ーグリーンハザードー】の効果でこのスペルが破棄された時に墓地からこのスペルを発動しても良い。
このカードの使用後、次の相手ターン終了時まで自分は相手にダメージを与えられない。
「カードの……種別を宣言し、デッキの上から……五枚を確認、その中から宣言した種別のカードを………全て手札に加える」
アーティファクトを宣言した鬼の奴が引いた五枚のカードが提示される……全て宣言された通りのカード達だ。
「……五枚を、手札に」
「マジか……っと、やられっぱなしにさせねぇぜ!スペルカード【もらい火】を発動だ!」
【もらい火】
赤 コスト:2 スペル
相手がカードを手札に加えた時に発動出来る。
相手がこのターン中に手札に加えた枚数以下のコストのカードを一枚手札に加える。
相手がこのターン中にカードを五枚以上手札に加えていたならば、手札に加えるカードをコストの合計が引いた枚数以下となるように二枚選んでもよい。
「アンタがこのターン中に手札に加えたカードの枚数は6、合計コストがそれ以下となるように墓地からカードを手札に加えるぜ!俺はコスト1の【燻火の守り人】とコスト4の【
脳裏で閃いたコンボのキーパーツと確実に増えていくだろうライフを削る為のバーンカード、それらを手札に加えたが向こうはそれを気にせずにさらにカードを使ってきた。
「アーティファクト【
【
緑・黒 コスト:2 アーティファクト・天狗
相手がカードを手札に加える度に発動する。相手のデッキの一番上のカードを破棄する。
黄色というよりクリーム色に近い二足歩行するキノコが胞子を振り撒きながら生えてくる……追加のキノコ達も生えてきたから鬼の奴の姿がキノコに隠されて見えない。
「……【衰退の
【オニテング】が翼を広げた。
キノコ達の胞子を巻き上げるように風を起こしてきて、ソレに煽られるように俺のデッキのカード達が一気に吹き飛ばされる……一気に来やがったな。
「
一気にカウンターが増えた影響か白っぽいキノコの【テングツルタケ】は明らかに体に悪そうな煙を漂わせ始める……十個も乗ってるから何か来るとしたら今だろうと身構えた瞬間に、腹の底まで響くような爆発音が耳に飛び込んできた。
「な、なんだ!!?」
次の瞬間には熱風が一気に吹いてきて、思わず地面にしゃがまなければ吹き飛ばされる所だった。
生えていた木も何本も折れてしまう程の爆風……木が少なくなったから見えた空には戦闘機みたいなデッカイモンスターが浮いていた。
「…………っ」
鬼の奴は……何も言わないけども向こうもびっくりしてるのは何となく分かる。
これもなんかのイベントなのか……?
ーーーーー
軋む軋む軋む──腕を振るう度に心臓の動きが止められる。
潰れる潰れる潰れる──爆炎が大地を舐める度に血が石になったように重くなる。
破壊せよ破壊せよ破壊せよ──だが、私の意思では最早止めることは出来ない。ただ、痛みに耐えているだけで良い。
もっとも……それが一番苦しいのだが。
眼前の景色を白く霞む視界は正しく認知していた。
燃やし尽くし、灰になった瞬間からそれらを苗床に繁殖を始める多種多様な草木に菌類。
それらを再度焼き払うも時計の針を戻すかのように再誕が続く。
だが、それらを行う為には"サモンエナジー"が必要であり、無限に続くような焼却と再生はいつかは終わりを迎える。
『
「続けろ」
『
再度放たれる焼夷弾は紅蓮の華を咲かせる。
ひたすらに燃やし灰にしていく作業……燃やして燃やして燃やして、ああ何時以来だろうか自制せずに何かを燃やし続ける事を許されるのは。
物を燃やすのは酷く■■しい。もっと燃やしたい、真っ白な灰にしてしまいたい。爆発に煽られて吹き飛んでいくモノに胸の奥がじんわりと暖かくなる。
燃やして燃やして燃やして燃やして……あの時も■■かった気がする。
あの時とはなんだ?
思考と記憶がイケない所に飛躍する一歩手前でぐいっと物理的に体が後方に引っ張られる。
『思考の危険領域への移行を阻止します「"
「……すまん"
【ケルビム】には私の他にもう一体がその背に乗っている。
【マスティマ】──
「そちらはどうなっている?」
『「他のサモナーは片っ端から動きを止めている、そろそろ焦れてあの娘が直々に来るだろうさ」──警告、
「……構わない」
ほんの少しだけこちらに頭を下げてから、【マスティマ】の目から色素が失われる。
……便利なものだ、複数の姿が存在するモンスターはこのように遠く離れた場所にある体を使い分ける事が出来るのだから。
予め命令が刻まれていたのか【マスティマ】の操り糸が翻る。
その動きに合わせて私の体が再度の爆撃をハンドサインで【ケルビム】に指示する。
物の焼ける臭いと燃料の臭い、それらが混じった悪臭を纏った黒煙が私のいる遙か高空にまで立ち上る。
「悪には悪を……お前の段取りを全て燃やし尽くす前に出てこい、悪神め」
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