第25話 祭りの日

 ついにこの日がやってきた。


 僕はゴクリと息をのみこみながら祭りの日を楽しむ勇者メルを見ていた。


(...今回は大丈夫。ちゃんと勇者メルもこの場にいるし不安要素もない)


 そう...デスコーンの登場時間とオル爺の到着時間に対して意外は...。


 一応オル爺に今日の祭りのことを教えてはいるが来てくれるかどうかは彼の気分次第だろう。


 もしも来なかったら場合の対策案もちゃんと用意してあるので大丈夫なはずだが、来てくれた方が圧倒的に助かるのも事実だ。


 僕が警戒しているのを見ていたマフユが声をかけてくる。


「セリア? どうしてそんなに怖い顔をしているの? 今日はメルが旅立つ為のお別れの祭りだよ? 別れるのは悲しいけどさ。無理にでも楽しまないとメルがかわいそうだよ」


 そう聖人のような言葉を僕に投げかけてくれるマフユにこう返す。


「...大丈夫。マフユは僕が守るから」


「...もうっ! そういうことじゃなくてさぁ...。メルのことも考えてあげてよね」


 今日は確かに勇者メルの送別会のようなものだ。


 しかし、僕にとってはそれ以上に重要なイベントが起きる日でもある。


 それは...だ。


 僕は目の前に存在している小さな生命を守らなくてはならない。


 そう思いながら辺りを警戒していると...!


「火事だぁ!!!」


 と言う大きな声が聞こえてくるのでした。

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