超忙しい人のための晴明伝奇

清甜銀雪

第1話 仙妖奇縁

延長八年(930)春、満月丸(後の安倍晴明)は住吉の浜辺で子供たちにいじめられている亀を救出する。そこへ仙人の少女・白雪が現れて、亀を助けてくれたお礼として竜宮城に連れて行かれる。満月丸が助けた亀は鎮宅霊符神・玄天上帝の化身だった。彼らは東海竜王に謁見し、満月丸は鎮宅霊符と四寸四方の小さな箱を賜る。さらに、竜王から絶対に箱を開けてはならないと忠告される。


玄天上帝は人間界での修行を経て魂が疲弊していたので、白雪が大切に預かっていた。魂が回復したので、竜宮に運びに行ったのだ。


白雪は竜宮の仙女ではなかった。彼女は海よりも深い世界に住む仙女で、守秘義務により詳しくは教えてくれなかった。神仙の世界に興味を持った満月丸に対して、白雪は陰陽師になることを勧める。彼女の話を聞いて、満月丸は陰陽師を志す。


満月丸は白雪との別れを惜しんだ。白雪は一人前の陰陽師になれたらまた逢えると約束する。竜王から賜った小箱が再会の目印となった。満月丸は地上に戻り、父・安倍益材とともに帰京した。


やがて、益材は疫病で亡くなってしまう。満月丸の母はとうの昔に行方知れずとなり、兄弟もいないので、家族が皆いなくなってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る