第7話 誰かの役に立つ
翌日検査会社から帰ってきた血液検査では炎症反応が少しあるものの、他は異常は見られなかった。
明後日にまほよさんの様子を見るのをかねて(もちろんパンとトーストは頂くつもりで)、またマジカルプリティドームに顔を出した。
いらっしゃいませご主人様〜♡お嬢様〜♡
甘い声がいつものように店内に響いた。ちわーっと小さな声を出して会釈して、窓際の席に座る。
「せんせー!昨日からまじで調子いいよ!!!ほんとありがとう♡」
そこにはいつものように水を持ってきてくれるまほよさんの姿があった。
よかった、腹痛は治まっていたようだ。
はやりグルテン不耐症が原因とみていいだろう。
「ケーキのせいだ」、と私に店では言わないのが彼女の気遣いなのだ。
この店を本当に大切に思っているのだということを実感する。
彼女はとても優しい。
「良かったです!あ、一応検査の結果が出たのでまた来てもらえますか、薬を追加で出して、これで終わりにできると思います。」
「わかった〜♡今日の帰りにでもよるね!」
ふふっと笑う顔を見ると、まほよさんの役に立てたという実感があって自然と笑みがこぼれてしまう。
--------------------------------------------------------------------------------
全く誰かの役に立てずに終わる、そんなのはもう嫌なんだ。
--------------------------------------------------------------------------------
「あ〜笑った!いつも賢そうで難しそうな顔してるから、笑ってる顔みると安心する!てかせんせーってかわいいよね!メガネ取った姿もみたいな〜なんて!」
「いやいやいや、私が可愛い!?!?そんなのあり得ないです!!普通にもう今後の期待値ゼロというか末代というか」
面食らって早口になってしまう。
いない歴=年齢がキツすぎて流石に直視できず、心の奥底にしまっているアラサーに直球ストレートが来る。
まほよちゃん、人を褒めると逆に人を傷つけるときもあるのだよ…。
「てかスタイルもいいし!そうだ今度うちでお給仕してみる?絶対似合うと思うようちの制服!」
「むむむ、無理です!!!アラサーがこのフリフリ着たら、、は、、犯罪です!!!」
席を立って逃げようとしたがもう遅い。
奥から別のキャストがもうマジカルプリティドームの制服を持ってこちら出てきていた。
まほよさんをはじめとするキャストに囲まれた私に、選択の余地はなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます