宇宙移住時代の背景
宇宙移住への歴史
宇宙紛争後の世界 世界政府の樹立
(SG4 宇宙防衛隊火星部隊トロヤイーストの戦い より部分転載)
【概要】
遥か昔、宇宙紛争が数十億人の命を奪った。その後、世界政府が樹立され
地球再生プログラムにより計画的な宇宙移住が本格化する。
それとほぼ同時期、天の川銀河の彼方より『小天体雲』と呼ばれる
おびただしい数の小天体群が太陽系と衝突を開始する。
それから三百年以上経った今も人類は隕石嵐に怯えながら生活をしている。
【宇宙紛争について】
ある国の軍事衛星のAIが、デブリの衝突を他国の軍事衛星による
「攻撃」だと誤判断し、人間の判断を介さずに報復攻撃を行ったことで、
当時の月面の宇宙移住拠点、宇宙ステーション、コロニー、そして地球の
都市への攻撃まで発展してしまった。
この宇宙紛争により、数十億人の命が奪われている。
宇宙紛争の根本原因は、人口過密となった地球の各国が、本格的に
宇宙移住を検討するに際し、月面や宇宙空間などの『領土権』や、
宇宙の資源の『所有権』を主張し、その自らの『領土』や『所有物』の
権利を守るためには武力行使も行うというスタンスであったことによる。
これは、地球での北極や南極といった人類が元々は住んでいなかった
土地についても、近隣諸国がその所有権を主張したり、研究や資源開発の
ために先んじて開発に着手した強国が開発区の所有権を主張したり
していたのと、構図はよく似ていた。
月面やラグランジュ・ポイントなどのコロニーを建設しやすい宇宙域に
ついては、列強各国が開発競争を行い、そこを自国の『領土域』として
主張をした。
『資源』の所有権についてはさらに状況が複雑で、資源が豊富な小惑星
などについては、地球からの観測で発見した『発見国(または個人)』、
もしくは、その小惑星に最初に到達できた『到達国』、その小惑星が存在
する宇宙域全体の所有を主張する列強各国などが資源の所有権を主張して
一歩も譲らなかった。
列強各国は月や地球の衛星軌道に強力な武器を搭載した軍事衛星を配備し、
武器を備えた探査衛星を無数に飛ばし、軍事力で月面や宇宙域の領土を
広げようとする。 まさに戦国化の状態となっていた。
その中でAIの暴発による宇宙紛争が起きたのである。
宇宙移住拠点、宇宙ステーション、宇宙コロニーなどは、AIによる
自動攻撃を受け、空気の流出、内部火災、爆発、などにより瞬く間に
その機能を失い、多くの人々の生命が宇宙に散った。
また、その自動報復として行われた軍事衛星による地球の地上攻撃に
よって、列強各国の首都や政府機能は、集中的に攻撃され壊滅的な
ダメージを受ける。
その被害の速度は、地球時代の『世界大戦』などとは全く比較できない
ほど急速であり、各国が停戦を呼び掛けあう暇もなく、列挙各国の
政府機能は完全に機能を失った。
血の通っていないAIの判断による攻撃と報復の繰り返しは、世界の人々
に大きな恐怖を与え、その後のAI開発の制限へとつながっていった。
【世界政府の樹立】
列強各国の戦闘能力も政府機能も壊滅する形で、自然停戦となった
宇宙紛争から十年数年を経て、世界政府が樹立する。
宇宙紛争の反省から、全ての『国家』という枠組みが解体され、
太陽系の全人類が1つの世界政府の元で共存するという理念に基づき、
民主的な選挙により各地方の代表議員を選び世界政府議会ができた。
そして、世界政府の大統領は全人類の直接選挙によって選ばれるという
全人類共通の政府組織が誕生した。
宇宙紛争による甚大なダメージは世界の人々の記憶に新しく残り、
人々は平和への思いが強かったため、全ての意見の相違は民主的な
話し合いで解決し、武力を放棄するという方向へと進む。
そして世界政府は、その後の人類に大きな影響を及ぼすいくつかの
重要法案を可決していく。
●宇宙空間における宇宙機や人工衛星への武器搭載の制限。
●宇宙紛争の引き金となったAIの開発・運用を禁止する法律。
●太陽系の資源を全人類共通の所有として、世界政府がその採掘や販売の
管理をするという法律。
●低重力、無重力中の長期滞在を制限する法律
この4つ目の法律は、かつて列強各国が月面や宇宙域の所有権を争奪
するために、疑似重力無しでの長期滞在が人体に及ぼす悪影響を無視して、
低重力、無重力の空間に人々を留まらせたことにより、多くの健康被害を
もたらしたことによる。
これらの重要法案を可決したあと、宇宙紛争によって、ほぼゼロからの
再スタートとなった宇宙移住計画に着手した。
⇒ 後述の『地球再生プログラム』のエピソードに続く。
また世界政府は宇宙移住においては、武器の宇宙への持ち出しを禁止する。
政府の保安部隊など限られた人のみが電気ショックガンなどを使うという
法律に基づいて、宇宙移住という特殊で歴史的な節目によって
全人類の『武装放棄』は一応成功をする。
(ただし一部の無法地帯では、宇宙空間で違法に武器を製造したため
完全には放棄できていない)
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