第2話魔王交代
魔王城から少し離れ、すごく大きいホールのようなとこにつき、そこには、台とマイクが置いてある。席はすでに全て埋まっていて、魔王の姿が見えると会場は、少しざわつき出す。
「・・・えぇ〜皆のもの、今日は我から伝えなければならない事がある。」
魔王が台の上に立ち、話し始め、ざわつきが一瞬にして静かになる。
「それは、魔王という地位を我が子へ譲るということだ。」
そう言って魔王は僕を高く上げ群衆に見せつける。
そうすると魔王を見ていた者たちはあっけにたられて、僕と魔王を目で行き来していた。
魔王の地位を子どもに譲るというのはあることなのかもしれないけど、こんな生まれたての赤ん坊にそれをするのは前代未聞のことだろう。会場がまたざわつき始めた。
「なにか・・・異論があるものは居るか?」
魔王が話し出すとすぐに静かになる。とても威風堂々としているから、みんなビビってるんだろう。
「そうか・・・ならば今日。魔族の王、魔王は、交代する。」
とても強く言いきったその魔王の言葉に群衆は、無言で拍手する。
「まだ生まれたての我が子だ。皆、不安があるだろうから、この子が大きくなるまでは、我が代理で皆に指示を出す。」
魔王は僕が大きくなってから、困らないようにと善意でやってくれているんだ。
「それなら、魔王を交代する意味はないのでは?」
席の最前列で、魔王から一番近いところにいた、鳥人がそう言う。
魔王の言葉に意見したその鳥人に群衆はギョッとした目で見ている。
「・・・我らの国が今とても危険な状況にあることを知っているか?」
「・・・え?」
「はぁ、この国は今、勇者発祥の国、マーム帝国に狙われているのだぞ。」
「それは存じています。しかし、魔王交代は流石にやり過ぎではありませんか?」
「・・・いや、魔王国とマーム帝国で、戦いになれば、魔王国のトップは我になる。その時、我が魔王という地位を子どもに譲れば、我は動きやすくなる。」
「・・・それはそうですが。」
「そして、戦争がおわり、新しい魔王国を作っていくのは、この老いぼれの我ではなく、若い我が子だ。だから、今のうちから足元を固めておきたくてな。」
魔王は、正直に言った。
これはあくまで僕の予想なんだけど、魔王はそのマーム帝国との戦争で死ぬような気がする。僕には寿命って言ってたけど、なんとなく魔族はもっと長生きする気がする。よく自分の事を老いぼれと言っているけど、見た目的には50〜60歳くらいに見える。
「では、我からの話はこれで終わりだ。各自、いずれ来たる戦いに準備しておくように。それと、我はもう魔王ではない。我を呼ぶ時はカイトとでも呼んでくれ。」
魔王はそう言って僕は抱えたまま、魔王城に帰った。
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