鬼殺しの一族

むおだ はや

柊家

[鬼]

大昔に日本で出現した最悪の存在。人を襲い、喰らう憎むべき存在。現在では鬼は鬼の討伐を専門とする一族、柊家によってほとんどが討伐されたが、今でも鬼は少なからず存在している。人間社会に溶け込んで_



「ただいま」

「綾目、おかえり。今日は学校どうだった?テストだったんだろう?」

「別に、いつも通りだよ兄さん」

「流石だな、綾目は。俺とは大違いだよ」

「…"仕事"には必要ないじゃないか」

「…綾目。確かにこの"仕事"には必要性がない。でも綾目はこの仕事をやらなくていいとなんども言っているだろう?勉強した分、好きな企業に勤めればいいんだよ」

「…」

「…ごめん、俺はもう"仕事"行かないと。当主に怒られちゃう」

「行ってらっしゃい。必ず勝ってね」

「ああ、当たり前じゃないか」



勉強なんてただの飾りだ。受験、就職、両方問われるのは決まって勉強ができるかどうか、コミュニケーション能力が長けているかのどちらかだ。でなければ地獄を見る。この家系とは真反対に。

柊家、それは江戸時代から続く鬼殺しの家系。

人を襲い、喰らう存在を裏で根絶やしにしてきた救世主だ。だがそんな鬼も今では数は減り、人間社会に紛れる個体も現れた。だから最近になってから柊家も少しずつ活発になってきていた。俺はそんな柊家の末だ。


だが俺には兄の夏梅のように優秀じゃない。兄は当主…父さんに見込まれていてみるみる成長していく。優しく包容力のある性格とは裏腹に鬼には容赦がないらしい。俺はまだ未成年だから家系の規則でまだ戦いに参加できない。だから俺は大人になって、兄さんの隣で兄さんを手伝いたい。



次の日__


「お、綾目おはよー!」

「おはよ、なんかいつにもまして元気だね。何かあった?」

「それが聞いて驚け、今日からこのクラスに転校生が来るらしいぞ!!」

「転校生?へーそうなんだ。」

「いやー美女だと嬉しいね俺は!」

「大翔そればっかじゃん」

「男の本能だろ」

「まあ別に俺はどっちでもいいや。一番気になるのは問題児じゃないかどうかだし」

「まあうざいやつはちょっとやだな…」


すると見慣れない生徒が教室に入ってきた。金髪にピアス、俺は問題児という言葉と同時に違う思考が頭を巡らせた。


本物は俺も見たことがない。でも本能でわかる…こいつ…


鬼だ。

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