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第1話

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二時間のライブは、終始盛り上がっていた。


まだ衣装を着たまま、冷房のきいた楽屋で休んでいたギィは、ファンの笑顔を思い出していた。


ここ何年か続けているバースデーライブ。ファンクラブの会員限定の小さなものだが、ファンと近くで交流できるのが嬉しい。


ギィは今日でニ十七歳になった。


誕生日が夏の初めというのは、なんだかワクワクする。夏に向けて、何かいいことが起こりそうな、そんな期待をしてしまう。


実際は忙しくて、好きな旅行もなかなかできないものなのだけど。


でも、誕生日は一年の中で一番特別な日だ。楽しかったライブの成功……欲張りなギィは、それだけではものたりなかった。


身体がまだ興奮している。感覚は研ぎ澄まされ、いつにも増して霊力が強くなっていた。

ソファに寝そべり、長い足を投げ出しながら、首だけを動かす。


「――誰?」


窓のそばに何かの気配を感じた。といっても誰の姿も見えない。人ならざる者のようだが、禍々しいものは感じなかった。


「姿を見せて」


とがめるような声じゃないのは、行き過ぎたファンのたぐいでないことはわかっているから。


気配は濃くなり、人の形となった。

現れたのは子供だ。


色のないような、グレーの瞳。大きなつばのついた帽子の下からは、白い髪が見えている。

外国人……というより、別世界の人のようだと思った。


いきなり現れたのだから、そうなのだろう。ファンタジー映画に出てくるような衣装は、ギィがライブや撮影などで着るものと似かよっている。


「魔法使い?」


尋ねると、少女は嬉しそうに、大きく頷いた。

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