11

「お、おかね……」

「はぁ!?……チッ」

小さく舌打ちした愛亜は

千円をカウンターに置き

「これでいいんでしょ!」

と叫ぶ。

「マスター!用事できたから

帰るわね!お金置いとく!」

それだけ言うと

愛亜は結梨の手を引っ張って店を出ていった。

俺は呆然と二人を見送った。

マスターが

「大丈夫かのぉ…」

と聞いてきたので

俺は

「…大丈夫です…」

と言い残し2人の後を追う。


2人を追いかけると

いつもの公園に居た。

俺は、木の陰に隠れて2人の会話を聞いている。

「アンタなにしてんのよ!」

「……っ!」

愛亜の鋭い眼光を向けられ、結梨が怯む。

「……あの…」

結梨がおずおずと口を開く。

「あんなとこ連れてったらどうなるかなんて!状況わかんでしょ!?私がどれだけ……!」

愛亜が拳をギュッと握り

顔を真っ赤にしながら言葉を途中で止める。

結梨は俯きながら

「……ごめん……」

と謝っている。

「…ふぅ………」

愛亜は少し深呼吸し口に手を当て

俯き加減で何か考え込んでいる。

結梨が少し顔を上げ

「…あのっ…」

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