文化祭、女子を呼べたらカッコイイ!

崔 梨遙(再)

1話完結:900字

 男ばかりの高校2年生の秋。また男ばかりの文化祭が始まった。まあ、他校から女子が来るので多少は華やかになるのだが、その女子をナンパしても上手くいかないことは1年生の文化祭で思い知っている。


 ということで、文化祭に女子を呼べたら一目置かれるというのが学校の雰囲気だった。勿論、僕も文化祭に女子を呼ぶ予定は無かった。地元の元同級生のA子に地元で会ったから、とりあえず文化祭のチラシは渡した。だが、来てくれるとは思わない。


 ところが、その地元の女子A子が友人のB子を連れて来てくれたのだ。A子もB子も小学校、中学校が一緒だった。


「え! マジで来てくれたん?」

「うん、来たで」

「ほな、案内するわ」


 僕は女子2人に校内を案内した。辞めたテニス部の焼きそばも買った。テニス部に1人だけ女子がいたのだが、


「どちらが彼女さんですか?」


と聞かれた。勿論、どちらも彼女じゃない。ただの幼馴染みだ。だが、僕は言ってしまった。


「どっちやと思う?」

「えー! どっちだろう?」


 (すみません。見栄を張ってしまいました)


「焼きぞば3つで450円です」

「5千円でお釣りある?」

「あ、お釣り無いんですよ、どうしましょう?」

「ほな、お釣りはええわ。みんなで缶コーヒーでも飲んでや」

「いいんですか?」

「うん、僕は君達に先輩らしいことが何も出来なかったから」


 (すみません、カッコイイ先輩のふりをしてしまいました)


 女子を2人連れて歩いてると目立った。同級生にも見られた。驚かれた。僕はツンと澄ました顔で“僕には彼女がいるんやで”という雰囲気を作り上げた。



 結果、僕はクラスで一目置かれる時期があった。まあ、2人とも彼女じゃないことはスグにバレたのだが、呼べるだけリードしていると思われたようだ。ところが、3年生くらいから、男性的な魅力のある人材は1人、また1人と彼女が出来ていった。全体的には彼女がいない方が圧倒的に多かったが、僕は結局は取り残された。



 しかし、A子とB子のおかげで一時期とはいえ優越感に浸れた。2人には感謝している。







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