第25話

十六歳にして抱いた初めての感情とはいえ、健康な少年ならあたりまえの感情や欲望だ。




「 薬問屋の夏耶はここの男達も噂している。目の前にいたら食指の一本ものびるだろう」




治平の言う、進展が夏耶との仲だとわかり佐吉は顔が紅く染まる。


言葉を発することができず佐吉はただ頷いた。


堀の工事から帰る途中で夏耶と待ち合わせをしている。


川沿いの土堤近くの小屋に入ると、夏耶が抱き付いてきた。



「佐吉さま…」




夏耶は佐吉の項に腕を回すと唇を押し付けてきた。




「ん…夏耶…」




彼女の肩を掴み唇を離そうとすると、舌を積極的に絡ませてくる。


熱い吐息が勝手に漏れる。




「はぁ…ん…お願い…抱いて早く…」




誘うように夏耶は佐吉の小袖の袷へ手を差し入れ掌で胸元をまさぐってくる。



夏耶は指先で 、佐吉の肌を辿る。




触れるか触れないかの夏耶の愛撫に肌が熱をおびてくるのを感じた。




「はぁ…」




たまらなくなり佐吉は夏耶に口づける。




何度も口づけている間に夏耶は佐吉の袴の腰紐を解いていた。



「夏耶…」




佐吉も夏耶の背中に手を回し、帯を解き腰紐を引いた。

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