第7話

「これ、佐吉。いい加減せぬか、羽柴さまもお怒りになる」




「よい、よい。許す、申してみよ佐吉とやら」




「ありがとうございまする」



佐吉は頭を下げ、




「この石田佐吉を、殿の家来に加えて下さい‼」




「ほおぅ、わしの家来になりたい、と申すか…なぜだ」




「一廉な武人になって、天下のために働きとうございます。」



秀吉は佐吉の体格を見て、



「それで、佐吉はなにができる」



「わかりません」



「わからんと、」



秀吉は苦笑いを住待に向け、



「こっちの方はどうじゃ?」



秀吉は槍で敵を突くような仕草をして見せる。



「一向に」



「それにしても、痩せておるお前は、戦場に出ればすぐに殺されてしまうぞ」



「私には頭があります。」



「頭ならわしにもあるぞ‼ どこぞで武芸の修行をしろ。二年じゃ…わしを訪ねてこい小僧」



秀吉は佐吉にそう告げ、住待に馳走になったと言った。


腰を上げ踏み段を降り、供の者たちに声をかけた。



「行くぞ」



軽々と馬上に乗り、馬を走らせた。



「殿、何か楽しそうですね」



「わかるか弥兵衛、面白い小僧がおったぞ」

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