ヤジロベエの心【完結】

@Marikos

再会

第1話

届かないのなら、別に手に入れられなくてもいいと思っていた。

 そんな軽い気持ちで本棚の一番上の段に手を伸ばしたら、案外届きそうで、私は思いっきり背伸びをした。

 本と本の間に指をこじいれて、ハードカバーのその本を掴んだまではいいけど、体勢が不安定でうまく力が入れられない。何とか踏ん張って引き出そうとすると、今度は両隣の本も一緒についてきてしまう。

 それでも頑張れば取れそうなだけに、つい、意地になった。

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