第16話 時哉の来訪と推しのお裾分け
今日は時哉が泊まるから夕食は無理だという旨をメッセージで送信した。
『了解しました。では、タッパで多めにおすそ分けしますね。』
『いや、大丈夫だぞ?申し訳ないし。』
『いえ、自己満足なので、ご心配なく。』
『じゃあ、ありがとう。楽しみにしとく』
どうやらおすそ分けをくれるらしい。やっぱ天使なんだろうか。
突然、玄関から電子音が鳴る。どうやら時哉が来たようだ。
「よっ。邪魔するよ。」
「おう。やっと来たか。」
「なっ…!?足の踏み場どころか部屋が片付いているだと…。何があったんだ…?天変地異か何かの前触れか?」
「失礼な。たまには片付いている。」
「いや、いつも片付けろよ。」
正論である。ぐうの音も出ない。
「さて、ゲームでもしますかな。スマシスでもしようぜ。」
大乱闘スマッシュシスターズ、人気キャラ同士を戦わせるゲームだ。
「よし、ボッコボコのギッタンギッタンにしてくれる。」
「ジャイアンかよ。」
ゲームが始まる。ちなみに、腕は互角だ。
負けた。悔しい。
「おうおう。さっきまでの威勢はどうした?」
めちゃめちゃ煽ってくる。俺が勝ったらそっくりそのままその言葉を贈呈してやろう。
ゲームをもう一度始めようとしたその時、再び玄関から電子音が鳴った。
「ちょっと出てくる。」
「了解。」
「そのまま進めるなよ。」
「そんなことは…しない…ぞ…?」
「信用できんな。」
玄関を開けると自分よりやや下の位置に亜麻色の髪が揺れていた。
「お裾分けです。どうぞ。」
「ああ、ありがとう。いつも本当に助かってるよ。」
「それならよかったです。では、また明日。」
もっと話していたかったが、ここで戻ることにする。
戻るとやはり時哉が反則していた。
「おう、戻ってきたか。いない間に再開してやっつけてやったぞ。お前を。」
「そうか、今日は暖房と布団なしな。」
「すいませんでしたぁ!てか、何だった?」
「切り替えが早いな…。お隣さんからのお裾分け。結構たくさん。」
「ちょっと見せて。」
「うわぁ、美味そう。さっそく食おうぜ。」
今日の献立
・パックごはん
・インスタントコンソメスープ
・ハンバーグ(葵作)
・お野菜(タッパに入っていたもの)
健康志向の葵らしい。野菜たっぷりだ。
「何これ!うますぎだろっ‼」
「だよな。たまにおすそ分けで食べるけどうますぎるもん。」
ほぼ毎日作ってもらっていることはここだけの話である。絶対こいつ学校で言いふらすからな。
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