第14話 推しと合鍵
配信の次の日の夕方、葵が夕食を作りにやってきた。
外は冬で寒いため、前々から考えていたことを実行することにする。
「田中、毎日開けるのめんどいから、合い鍵もらってくんね?」
「本音が駄々洩れですよ」
少々、呆れ気味に言われてしまった。ちょっと、悲しい。事実なのに。
「あなたは、心配じゃないんですか?」
「何が?」
「だって、こないだまでほぼ面識のなかった他人に家の合鍵を渡そうとしてるんですよ。」
「そりゃ確かに。でも、お前なら大丈夫だろ。」
「その信頼は嬉しいですけど…。」
「じゃあいいじゃん。はい。」
鍵を手渡した。
「ありがとうございます…。ちなみに、鍵を渡そうと思った理由って聞くことができますか?」
「だって、女の子が体冷やすのもどうなのかと思ってな。」
「なるほど…。思慮深さは100点ですが、自衛としては0点ですね…。」
「別にいいだろ。」
とても呆れられている。ホントのことなのに…。
「ハァ…。思いやりだけはピカイチなんですが…。」
その声は翔に届くことはなかった。
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