バカはフラれてもバカ
@kaigyakunaaitu
第1話バカはフラれてもバカ
恋愛のというものに興味がある。
僕、佐々木優作は彼女いない歴年齢の16歳だ。
小学6年の時、同クラスの笹屋美幸ちゃんに惚れ、告白しては玉砕。
中学生の時、一つ上の学年の生徒会長である加藤沙耶さんに惚れ、生徒会に入り告白。玉砕。
そして高校生になり、同じクラスの鯵白響(あじしろひびき)さんに一目惚れし、勢い告白して玉砕。
告白歴は長いが彼女がいたことがない。
世の中くそである。
いや……理由は分かっているのだ。
僕はそもそも告白に段階を踏んだことがないのだ。
なにせ思い立ったが吉日と言わんばかりに告白をした。
そもそも相手の好みすら知りやしない。
ただ好きになった理由ならある。
小学生の時に好きになった美幸ちゃんはテストで低い点数を取った時親に怒られると絶望していた僕を慰めてくれたし。
中学の時に好きになった沙耶さんは体育祭で怪我をして、クラスの皆に迷惑をかけたくなくて落ち込んでいた僕を励ましてくれたし。
今現在好きになった響さんは目の不自由な人と手をつないで案内していた姿に惚れた。
みんな素敵な人なので我慢できなかったのだ。
だから告白し玉砕したのだ。
もう少し僕は落ち着きを覚えるべきではあるが、こんな僕には一つ特技、というかある意味人によっては厚顔無恥と言われそうな技がある。
それは――
「で、響さんさ、結局僕の何がダメだったの?」
僕は休み時間に目の前に座っている響さんにそう聞いてみた。
「そういうデリカシーに欠けるところと告白に失敗しても落ち込まないところかな」
「僕、メンタルだけは形状記憶合金だって今まで告白してきた人に褒められてきたのにそれが仇に!?」
「それ全員からフラれてるなら皮肉だよ絶対」
――そう、フラれた相手でも友達関係までは持っていける程度にはコミュ力があるのだ。
まあ相手は呆れてるし、フッた気まずさそのものを忘れて辛辣な言葉を投げかけてくるが仕方ない。
僕、強いから。
嘘です、意外に傷ついてます。
「まあ、顔はそこそこいいんだけどねー。なんというか、直情というか、馬鹿っぽいのがマイナスだよね。大切にはしてくれそうだけど」
「馬鹿っぽいのがそこまでマイナス査定に!? プラスポイントの方が多そうなのに!?」
「うん疲れそう」
「ぐぅ……」
それは否定できないかもしれない。
犬の散歩も逆に犬が家に帰りたくなるまで散歩しているほどに体力が有り余っているのだ。
お人間さんからすれば疲れそうは間違っていないかもしれない。
いやでも人によってはそれもプラスポイントではないだろうか?
「一応学年上位三十位に入るくらいには頭がいいですが?」
「馬鹿っぽいと頭が良いは両立するよ。ちなみに頭の回転が早いのと勉強ができないも両立するから」
「つまり勉強はできるけどお前は馬鹿だろと?」
「そこまでは言ってないけど……ね?」
つまりそういうことだった。
じゃあどうしようもないじゃん!!
僕は勉強できる馬鹿ってことじゃん!!
これでも勉強できて、かつ運動もできるモテ要素の塊なのに馬鹿っぽさが足を引っ張りやがる!!
じゃあなに!? 僕はどうすればいいの!? 今から賢そうな振る舞いを覚えるべき!?
テーブルクロスを引いて弁当食べる上流階級みたいな振る舞いをすればいいの!?
それがいいの!?
「何考えてるか分からないけど絶対そうじゃないことはわかるからそれはやめときなさい」
「何でわかるんだ! テーブルクロス引いて弁当たべてると知性があるように見えるでしょ!」
「そんな奴がいたらドン引きよ!! 学校にそんな奴がいたら皆から遠巻きに見られるわ!!」
「隣のクラスの鈴木君はこれが上流階級の知性ある振る舞いだって言ってやってたけど」
「一応ここ進学校なんですけど!? なんでそんな知性のない振る舞いをする人が同じ学年に二人もいるのよ!?」
「それが上流階級なのかもしれない。それと二人のうち一人って僕のこと?」
「そうよ!!」
「あいたっ!」
響さんは怒鳴ると同時に手元にあった恋愛漫画を僕の顔に叩きつけた。
そして響さんは僕に指をさし、言う。
「それ読んでもう少し人間の機微を勉強しなさい! 君の常識よりはまだ常識があるわよ! いや、本当に!」
「まるで化け物に人間の感情の機微を教え込むかのような言い草だ。傷つく」
「あと、読み終わったら感想もちょうだい」
「いや、これただ同士が欲しいだけだな? 感想言いあいたいだけだな?」
僕は漫画を手に取り、タイトルを見る。
『化け物ですがなにか』裏のあらすじには化け物がヒロインと一緒に人間社会に馴染んでいくお話のようだ。
うーん僕これと同列に思われてるの? もしくはこれ以下だと思われてる?
いやいやいやまさかね、まさか……チラッと響さんに視線を向けると。
あんたはそれ以下だと顔に書いてあった。
傷つく。
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