最強の無能魔法使い 〜適正『想像』で学園を無双する〜 (仮)

功琉偉つばさ @WGS所属

第1話 アレイ

 アノルーン歴2022年。アレイが普通の子どもとして一〇年を過ごした頃、ついに<特別生活魔法>の適正確認式が行われた。


 子どもたちは一〇歳になるとその村の村長の家に行き、その村に一つ帝国から配られている拳骨二つ分の大きさの水晶玉に手をかざして自分の適性を確認する。


 この日は多くの子供達にとっての将来がわかる晴れ舞台になるはずだったのだが、アレイにとっては最悪の日となるのだった・・・・・・


◇◆◇


 僕はアレイ、アレイ・グラハマトーン。今日、一〇歳の誕生日の僕はこれから村長の家に行って<特別生活魔法>の適正確認式をしに行く。


 この世界では人間は一〇歳になると<特別生活魔法>という一人一つ神から与えられる魔法の適性がわかり、また杖が教会から与えられることによって、基本魔法を含めるすべての魔法の使用を許可される。


 許可されると言ってもこの年齢で魔法を使える人なんてほとんどいないのだが。


 <特別生活魔法>は治癒魔法、結界魔法、創造魔法、身体強化魔法、鑑定魔法、付与魔法、調合魔法、探査魔法の八種類があり、身体強化魔法が全体の六割を占めていて、他の七種類はそれぞれ約五分の確率で分配されている。


 <特別生活魔法>の適正確認式はどうやら水晶玉に僕の手をかざして適性を確認して、教会から魔力を伝えやすい木でできた杖を与えられ、魔法を使うことが許可される一生に一度の儀式なんだ。


 僕と誕生日が同じ子は僕を含めて三人いた。この村の人口はだいたい二〇〇人前後なので、三人も同じ日に生まれているのは珍しい。


 僕、アレイと赤い髪の女の子、リンと青い髪の男の子、ロンは本当に仲良しだった。いつも一緒にいて遊び回って、ふざけあった。


 今日も僕らは一緒に村長の家を訪れた。


「おはようございます! 」

「はい、おはよう」

「三人とも、一〇歳のお誕生日おめでとう。では、適正確認式を始めるとするかのう」


 村長はその長くて白いヒゲを触りながらそう言って大きな水晶玉のところに案内してくれた。僕達の後ろには親や村の大人たちがぞろぞろとついてきた。


「では、始めるかのう。まず、三人に杖を渡そう」


 村長は机の引き出しから三本の木の棒を取り出した。


「これがリンで、これがロンで、これがアレイじゃのう。これでおまいさん方は魔法を使うことができる。ここに三人の魔法の使用を許可する! 」


 僕は渡された杖をぎゅっと握りしめてに感動していた。お父さんお母さんが使っていたあの格好いい魔法が、魔法書に載っていた魔法が自分にも使えるのだと思うと嬉しくてたまらなかった。


「じゃあ、次は本命。適正確認じゃ。」

 

 まず初めにリンが水晶玉に手をかざした。すると水晶玉は赤く光り、その上に文字が浮かんできた。『ちゆ』と。


「『ちゆ』? わぁぁぁぁい! 治癒魔法が使えるの!? やった! 」


 これでリンの適性は治癒魔法だとわかった。治癒魔法は重宝されている魔法なので、周りの大人はとても喜んだ。この村には治癒師がリンのお母さんの一人しかいない。だからより嬉しさが倍増したのだろう。


 次に、ロンが水晶玉に手をかざした。すると水晶玉は青く輝き、『しんたいきょうか』の文字が浮かんできた。身体強化魔法は最も一般的な魔法で大抵の人はこの魔法の使い手だ。


 身体強化魔法は結構万能で、欠点が少ない。特にこの村には農家が多いのでなにかと重宝されている。これもまたロンは周りの大人達から喜びの声が上がった。


 そして、ついに僕の番になった。僕はおそるおそる眼の前にある水晶玉を覗き込む。水晶玉は本当に透き通った青い色をしていてどこまでも吸い込まれそうな感じがした。 


 僕はなんだか水晶玉の青を見るとなんだか変な感じがして手をすぐには重ねれなかった。


「アレイ、さあ、手をかざしなさい」


 村長に促されて僕は勇気を振り絞ってその水晶玉に手をかざした。すると水晶玉は緑色に輝き、文字が浮かんできた。

 

 そこには『そうぞう』と記されていた。

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