第16話 殺された半身
「前の冬、吹奏楽部の件でインタビューしてもらった時以来よね?
「治ったんなら問題なさそうね」
ぞくり、と全身の毛が逆立ち、首筋に寒気が走る。
「こ、ここは……
そこで男の声がして、全員がその方向へと視線を向けた。ヤドリ
「この
「……は」
「俺のじいちゃんが昔言ってたんだ。ほら」
日向さんは岩くずを拾い、その側の
「ここで何やってたかは知らねぇが、あんたらも早く出ろよ。ったく、なんでこんなところに」
じゃ、と言って日向さんはふらつきつつも立ち上がる。まるでさっきまでのことは
「日向さん!」
「……俺、お前に名前教えたことあったっけか?」
「これだけは教えてください。マガツヒメって
「マガツヒメ? なんだそりゃ」
日向さんの、ぽかんとした表情が
「な、なんだそりゃって……」
「俺はあんたの名前も分からん。もういいか、お
私が
「立ち入った質問、どうかご
「嫌なこと……?」
日向さんが浮かべた表情は、
「ない」
はっきりと、そう言った。
そして洞穴が崩れ
「弓丸、まさかあの矢は」
「……命は
頭を
「あの矢は、
「で、でも、こんなのって」
「太刀で一刀両断すれば、あいつは化け物として死んだはずだ。他に方法はなかった」
早朝に
「ほら
「弓丸さんも行きましょう、
「ねぇ、後で」
「あっ……ぐっ……!」
私が視線を戻そうとしたところで、弓丸は
開いた
「さきに……行って……て」
「何言ってんの弓丸、ちょっと、……あぁもう!」
もしかすると、洞穴に入る前に打っていた矢の効力が切れてしまったのかもしれない。とてもじゃないが、動ける状況にはないだろう。
だったら、私がすることは決まっている。
「
弓丸の膝裏と背中に
考えてみれば、弓丸は明らかにおかしい体調を〈己を貫くための
「っはぁ……!」
洞穴を抜け、全員そろって
「藍果……」
私の腕の下で、弓丸がうっすらと目を開けた。霧雨の
「思い、出したんだ。この場所と
消え入るような
「この洞穴は、僕を除く
それはきっと、弓丸にとっての〈忘れてしまいたいほど嫌な記憶〉で。
私を凍りつかせるには、十分すぎる内容だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます