第7話 卒業とギルドへの登録

一において重要なスキルを身につけ、冒険者として独り立ちする準備が整っていた。卒業式が行われる広場には、教官たちや他の訓練生、そして彼らの成長を見守ってきた親たちが集まっていた。


卒業式は厳かな雰囲気の中で始まり、教官たちは一人ひとりに証書を手渡しながら、彼らの成長を称えた。剣士養成所の教官は、レオに証書を手渡しながら静かに語りかけた。


「レオ、お前は常に努力を怠らず、仲間を信頼し、自分を磨いてきた。これからは冒険者としての道を歩んでいけ。どんな困難が待ち受けていようとも、お前なら乗り越えられるだろう。」


レオは教官の言葉に深く感謝し、力強く頷いた。そして、他の仲間たちも次々に証書を受け取り、それぞれの教官から激励の言葉をもらった。


「ついに、ここから本物の冒険者としてのスタートか…」レオは感慨深げに空を見上げながら呟いた。隣にいるレイが笑いながらレオの背中を叩く。「そうだな、レオ。この日のために頑張ってきたんだ。一ついに俺たちの冒険が始まる。」


アルティも少し離れた場所で、フレアと影の中で会話を交わしながら、杖を握りしめていた。「やっとここまで来たわね、フレア。次はどんな冒険が待ってるのかしら。」


「君なら大丈夫だよ。全力でサポートするさ。」フレアが応える。


卒業式は厳かに進み、訓練生たちは一人ずつ呼ばれ、養成所長から卒業証書を受け取った。レオも名前を呼ばれ、堂々と歩いていき、所長から卒業証書を手渡された。「レオポルド、よくここまで頑張った。これからも仲間たちと力を合わせ、立派な冒険者になることを期待しているぞ。」


「ありがとうございます!」レオは深々とお辞儀をして、卒業証書をしっかりと受け取った。


卒業の儀式が終わると、教官たちが集まり、卒業生一人ひとりに激励の言葉をかけ始めた。レオの剣術の教官であるハロルドがレオに近づき、肩に手を置いた。「よくやったな、レオ。お前はまだまだ成長できる。これからも努力を続けろ。」


「教官、ありがとうございました!」レオは感極まって涙を浮かべた。隣でレイも感謝の言葉を述べ、「教官のおかげでここまで来られました。これからも頑張ります。」と頭を下げた。


アルティの魔法の教官であるルナティスもアルティに声をかけた。「アルティ、君の成長は素晴らしかった。これからは自分の力を信じて進みなさい。」


「はい、教官。本当にありがとうございました。」アルティも涙ぐみながら深くお辞儀をした。


卒業生たちはそれぞれ教官に感謝の言葉を述べ、教官たちも彼らを温かく見守った。その光景に、仲間たちも感動し、皆で抱き合いながら涙を流した。


卒業生たちはその場で再び仲間たちと集まった。リスが嬉しそうに微笑んで、「これで俺たち全員、正式に養成所を卒業したんだね。次は冒険者ギルドへの登録か。」


「そうだな。ギルドに登録すれば、俺たちの冒険が本格的に始まる。」バルが力強く頷いた。


「ギルドでの登録って、どんな感じなのかな?」エヴァが少し緊張した様子で尋ねると、ヴァンスが肩を叩いて励ました。「大丈夫さ、エヴァ。俺たちはこれまで一緒にやってきたんだから、きっと何でも乗り越えられる。」


その後、卒業生たちはそれぞれ家族と別れを告げ、新たな目標に向けて歩み始めた。レオたちは養成所を離れ、馬車で二日かけて冒険者ギルドのある大きな街へと向かうことになった。


馬車での移動中に出来事。


養成所を離れてから二日間の道のり。馬車に揺られながら、レオたちはこれから始まる新たな冒険について話し合っていた。道中の風景は美しく、広がる草原や遠くに見える山々が彼らの心を躍らせた。


「いやあ、馬車に揺られるのも悪くないもんだな。」レイがリラックスした様子で言った。「でも、やっぱり歩いて冒険する方が俺には向いてるかな。」


「まあね。でもこういうのもたまにはいいわよ。」アルティが窓の外を見ながら微笑んだ。「それに、今はまだ冒険の始まりなんだから、リラックスしておいた方がいいと思うわ。」


「そうだな。俺たちにはこれからもっと過酷な道が待ってるかもしれないしな。」リスが頷きながら言った。


「エアロ、どう思う?この風景、なかなか悪くないだろ?」レオが影の中にいるエアロに声をかけた。


「まあ、悪くないな。風を感じられたらもっと良いんだが…」エアロが少し不満そうに答えた。


「贅沢言うなよ、エアロ。こうしてみんなで馬車に乗ってるのも、なかなか面白いもんだぜ。」ヴァンスが笑いながら言った。


「そうね。でも、私は早くギルドに着いて、実際の依頼を見てみたいわ。」エヴァが期待に満ちた目で話した。


「エヴァの言う通りだな。どんな依頼が待ってるのか、俺も楽しみだ。」バルが大きく頷いた。


馬車は途中、小さな村に立ち寄り、休憩を取ることになった。レオたちは馬車から降り、村の広場で体をほぐしながら、村の人々と交流した。子供たちが彼らを見て興味津々に寄ってきた。


「お兄ちゃんたち、冒険者なの?」一人の子供が目を輝かせながら尋ねた。


レオは微笑みながら頷き、「そうだよ。これから冒険者ギルドに登録して、本物の冒険者になるんだ。」


「すごい!僕も大きくなったら冒険者になりたいな!」


「そうか、それなら今からたくさん勉強して、強くなるんだぞ。」レオは子供の頭を優しく撫でた。


「レオ、お兄ちゃんみたいに優しい冒険者になれるといいね。」アルティが微笑みながら言うと、レオは少し照れたように笑った。


まだ冒険者ではないため、極力金のかからない旅をするため、馬車での移動は夜に野営をすることになった。レオたちは食事の準備をし、狩りをして手に入れた食材で焚き火を囲んで夕食を取ることにした。


「俺たちで分担して、効率よく進めよう。レイ、狩りを頼む。アルティは火を起こしてくれ。エヴァと俺は食材を準備するよ。」レオが役割を分けた。


「了解だ、任せておけ。」レイが森に向かって走り出した。


「火を起こすのは得意よ。」アルティが杖を使って火を起こし、焚き火が明るく燃え上がった。


夜が更けると、交代で見張りを立てることにした。ヴァンスが見張りの順番を確認し、「最初は俺がやるから、みんなは少し休んでくれ。」


「ありがとう、ヴァンス。何かあったらすぐに起こしてくれ。」レオは寝袋に入りながら言った。


見張りの合間に、ヴァンスはボルクスと静かに話をしていた。「あのリトルドラゴン戦のときみたいに、何か起きたらすぐに動けるようにしておいてくれよ。」


「もちろんだ、ヴァンス。いつでも準備はできてるさ。」ボルクスが低い声で答えた。


焚き火を囲んで夜が更ける頃、レイ、ヴァンス、バルがレオとアルティについて話し始めた。


「なあ、レオとアルティのことだけどさ、最近妙に仲がいいよな?」レイが笑みを浮かべて言った。


「確かに。昼間も街で一緒に歩いてたし、まるでカップルみたいだったぜ。」ヴァンスがからかうように続けた。


「そうだよな。レオがアルティに杖をプレゼントしたって話、聞いたか?」バルが焚き火を見つめながら言った。


「そうなんだよ。あいつ、アルティのことが本当に好きなんじゃないか?」ヴァンスがニヤニヤしながら言うと、レイもバルも笑い出した。


「まあ、レオにしては頑張ってるんじゃないか。だけど、アルティもまんざらでもない感じだし、いい感じなんじゃないか?」バルが頷きながら言った。


「そうだな。あいつら、これからどうなるか見ものだな。」レイがそう言うと、三人は笑いながら焚き火を見つめた。


その頃、少し離れた場所でアルティとレオも焚き火を見ながら静かに会話をしていた。


「今日は本当に楽しかったわ、レオ。ありがとう。」アルティが小さく微笑んで言った。


「いや、俺の方こそ楽しかったよ。アルティと一緒だと、なんだか安心するんだ。」レオが照れくさそうに答えた。


「ふふ、そう言ってくれると嬉しいわ。でも、これからもお互い頑張りましょうね。」アルティがそう言って、レオの肩を軽く叩いた。


レオは頷き、「もちろんさ。これからも一緒に成長していこう。」


二人の静かな会話は、焚き火の音に溶け込んでいった。



ようやくギルドのある大きな街に到着したレオたちは、冒険者ギルドの建物を目にしてその壮大さに驚いた。「ここが冒険者ギルドか…思った以上に大きいな。」レオは感嘆の声を上げた。


「確かにね、これほど大きな建物だとは思わなかったわ。」アルティも驚いた表情を浮かべていた。


ギルドの中は、すでに多くの冒険者たちで賑わっていた。彼らはテーブルを囲んで話し込んだり、受け取ったクエストについて議論していたりと、それぞれが忙しそうに活動していた。その様子を見て、レオたちは自分たちもその一員になるのだという実感を改めて感じた。


受付に並び、順番が回ってくると、ギルドの担当者が優しい笑顔で迎えてくれた。「新しい登録ですね。おめでとうございます、卒業したばかりですね?これからが本当の冒険の始まりです。」


「はい、全員で登録をお願いします。」レオが代表して答えると、受付嬢は手早く書類を用意し始めた。


「それでは、こちらにお名前と基本情報をご記入ください。また、所属パーティー名もお伺いします。」


レオたちはそれぞれ書類に必要事項を記入し、パーティー名を決める段階にきた。みんなで顔を見合わせ、「パーティー名か…」と呟いた。


「『風と共に進む者たち』ってどうだ?」リスが提案すると、ヴァンスがすぐに首を振った。「いや、それだとちょっと風ばかり強調されてないか?」


「じゃあ、どうだ?『七つの輝き』なんてのは?」バルが別の案を出すと、エヴァが笑いながら、「それも少し派手じゃない?」と意見を述べた。


「うーん…みんなの意見を合わせて『光と影の旅団』っていうのはどう?」アルティが静かに提案した。


レオはそれを聞いて微笑みながら頷いた。「いいな、それにしよう。『光と影の旅団』、それが俺たちの名前だ。」


受付嬢も微笑み、「素敵な名前ですね。それでは登録を完了させていただきます。皆さんは正式に冒険者ギルドの一員として活動することができます。」と言って、書類に印を押した。


「よし、これで俺たちも本物の冒険者だな!」レイが誇らしげに叫び、仲間たちはそれぞれ喜びの笑顔を浮かべギルドカードを受け取った。ギルドカードには彼らの名前、職業、そして所属するパーティーの情報が記載されており、これから冒険者としての証となる重要なアイテムだった。


「よし、これで俺たちも正式に冒険者の仲間入りだな!」


レイがギルドカードを掲げて喜ぶと、周りにいた冒険者たちも興味深そうに彼らの方を見て微笑んだ。アルティもギルドカードを眺めながら、「これが私たちの新しいスタートね…なんだか緊張するわ。」とつぶやいた。


ヴィンスは軽く肩を叩きながら、「大丈夫さ、アルティ。俺たちはこれまでも一緒にやってきたし、これからも同じだよ。」と励ました。


「そうだな、みんなで力を合わせて、これからの冒険を楽しんでいこう!」レオが笑顔で言うと、全員が頷き合った。


「次は初めての依頼を受ける番ね。」アルティが期待に満ちた目でギルドの掲示板を見た。掲示板にはさまざまな依頼がびっしりと貼られていた。


「どんな依頼を受けようか?」バルが興味深げに掲示板を覗き込み、ヴァンスが続けた。「簡単なものから挑戦するべきか、それとも少し難しいのをやってみるか…。」


「まずは全員で協力してできる依頼がいいんじゃないか?」リスが冷静に提案すると、レオも頷き、「そうだな、俺たちの連携を試すいい機会だしな。」と言った。


ギルドの担当者は、いくつかの初級クエストを提示しながら、「最初のクエストは、簡単な討伐や物資の運搬などがおすすめです。徐々に難易度を上げていって、経験を積んでいきましょう。」とアドバイスをくれた。


レオたちは提示されたクエストの中から、近くの森での「魔物の討伐クエスト」を選んだ。それは訓練で学んできたスキルを活かせる内容であり、彼らにとって最初の挑戦にふさわしいものだった。


「さあ、みんな。俺たちの初めてのクエストだ。しっかりと準備して挑もう!」


こうして、レオたち「光と影の旅団」は、正式な冒険者としての第一歩を踏み出した。これから始まる数々の冒険に胸を膨らませながら、彼らは新たなステージに進む準備を整えていた。











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