第九十七話 モモの考察

≪上杉 桃花 視点≫

 ミッチーの話は、色々考えさせられたね。

 普通に生活していても疲れはたまるし、ライフが減るのに疑問を一切持ってなかった。

 モモは良くゲームで遊んだりするけれど、確かにゲームではダメージを受けないとライフは減ったりしないよね。

 レベルの上限だけれど、ゲームではバランスを保つために上限を設けている。

 この世界では、人族の体を守るために設けられていると仮定すれば、上限を超えると命に関わると言う話にも納得できる。


 モモはこの世界に来てから、筋肉は殆ど増えていないと思う。

 逃亡生活で歩くのには慣れたけれど、足も腕もぷよぷよなままだからね。

 それでも、日本にいる頃よりかは速く走れたりするし、重い荷物も持てるようになっている。

 ステータスの筋力が何かしら作用して体を守り、力を補ってくれているからだよね。

 でもそれが、一定の数値を越えた所で体を守れなくなったとしたら、体のどこかが壊れてしまう。

 それが心臓だったり、脳の血管だったりすれば、死につながるのは間違いないよね。

 ちょっと怖い話だし、モモもレベルを上げない事には賛成だね。


「モモの考えを教えて」

「分かった~」

 モモの番だね、ミッチーも頑張って自分の考えを伝えてくれたし、モモも負けない様にしっかりと皆に伝えたいと思う。


「モモが、錬金術師ニコニコラーについて調べているのは以前に話したよね~。

 そのニコニコラーが、モモ達を召喚する道具を作ったと考えて、色々調べたんだよね~。

 その結果、ニコニコラーが作ったと確信できたものが、これなんだよね~」

「収納の袋って事?」

「そう、この袋の中には多くの物を入られれるよね~。

 モモ達の世界には無い技術だし、ニコニコラーが作るまでこの世界にも無かったんだよね~。

 無かった物を作り出すのって簡単には出来ないし、普通にやってても作れないんだよね~。

 色々試行錯誤をしている中で偶然作り出された物だと思うし、その過程で異世界の物を召喚してしまったんじゃないかな~?」

「えっ!?それって人を呼び出したって事?」

「ううん、人みたいな大きな物じゃなくて、ビニールとか消しゴムとか、この世界には無い小さな物だったと思うよ~」

「そうなんだね、それで、モモも作れるの?」

「時間あれば多分作れると思うけれど、日本じゃない別の世界に行く可能性が高いかな~」

「そ、それは嫌ね」

「うん、だから、ニコニコラーが作った道具を手に入れて、それを元にして作れば上手く行くと思う~。

 何故かと言うと、ミッチーが調べた結果として、三百年前の勇者が日本人の可能性が高いんだよね~。

 場所は日本で固定されてると思うから、モモ達も日本に帰れるよ~」

「そうだね!」

「それは嬉しい事だな!」


 日本に帰れると聞いて、アヤ、ミサ、ミッチーはとても喜んでくれていて、モモも嬉しい。

 だけど、リンだけは頬に手を当てて、難しい表情をしてた。


「ねぇ、その道具を探しに行く為に、アルロレーネ王国に行かなけならないのよね。

 それって、満君の腕を切り落としたあいつと戦いになるよね!

 後、ジェリーヌとも満君は戦わないといけないのよ!

 そんな危険な場所に、満君を行かせられないよ!」

「あ~、そだね。ミッチー、今のままじゃ勝てないよね?」

「…はい…ごめんなさい」

「ううん、謝らなくていいよ。うちらは、レベルを上げずに出来るだけ強くならないといけない!

 結構大変そうだけれど、頑張らないとね!」

「そうだな」

「…はい…頑張ります!」


 アルロレーネ王国に戻れば、モモ達は捕まるか殺される可能性があるんだよね。

 それは絶対に避けなければならない事だし、今直ぐには行けないのは分かる。

 モモの銃は一度見せたから次からは警戒されてしまうだろうし、モモが真っ先に狙われてしまうよね。

 モモの身を守る道具を、何か用意しておかなくてはならないね。


「でも、一番の問題はまだ解決してないんだよ~」

「それは何?」

「モモ達が日本に帰るために必要なマナの量だよ~」

「それがあったね…。確か、うちらがこの世界に来た時、王様が百年の準備期間が掛るとか言ってなかった?

 それと、魔王を倒したら何とかという秘宝が手に入って、帰れるとも言ってたっしょ」

「うん、秘宝アニムエルだったと思う~」

「そう、それそれ!」

「問題だらけだな…」

「そだね、でも、やる事が明確に分かったし、かなり前進したっしょ」

「そうだね~」

「じゃぁ、まとめるね」


 アヤはそう言って、モモ達がやる事を整理してくれた。


 一つ、レベルを上げずに強くなる。

 二つ、クラスメイトに、レベルを上げすぎると危険だと知らせる。

 三つ、アルロレーネ王国に行って、私達を召喚した道具を探し出して奪い取る。

 四つ、マナの問題を解決する。これについては、今後考えて行かなくてはならない。


「今の所この四つかな?」

「分かりやすいな!」

「そうね、やる事がはっきりしているから、やりがいも出て来るね!」

「…はい」

「うんうん、モモは皆が強くなっている時に、色々作ってるね~」

「モモ、お願いね!」


 話がまとまった所で、今まで部屋の隅でモモ達の話を聞いていたルアが、声を掛けて来た。


「あの、一つ、提案させて貰ってもよろしいでしょうか?」

「ん?いいよ、気になる事があったら何ても言って」

「はい、マナの件ですが、氷龍様にお願いすれば解決できるかも知れません」

「えっ、氷龍って魔王の味方なんでしょ?」

「いいえ、この世界に龍は白龍、黒龍、氷龍、炎龍、雷龍の五柱いらっしゃって、何処かの勢力に与する事はありません」

「でも、今回魔王の味方をしたんだよね?」

「はい、ですが、五柱の龍には言い伝えがあって、龍に会いに行けば、何でも一つだけ願いを叶えてくれるそうです」

「そうなんだ、うちらが会いに行けば、帰るために必要なマナを出してくれると?」

「恐らくは…」

「なんだ、簡単だね!」

「いいえ、それが簡単では無いのです。ここから一番近くに住んでおられる氷龍様は、ルズトール山脈の山頂付近にお住まいで、そこに辿り着くには、強力な魔物達を倒して行かなくてはなりません。

 それと、夏でも雪が解けないほどの極寒の地ですので、歴史上辿り着いた者はいないとされています」

「そうなんだ…、まぁ、うちらにはモモがいるから何とかなるっしょ!だよね!」

「うん、登山具と防寒具は作れると思う~」

「じゃぁ、四つ目は、氷龍に会いに行くに変更だね!」


 一つ、レベルを上げずに強くなる。

 二つ、クラスメイトに、レベルを上げすぎると危険だと知らせる。

 三つ、アルロレーネ王国に行って、私達を召喚した道具を探し出して奪い取る。

 四つ、氷龍に会いに行く。


 モモ達のやる事が決定し、今日から日本に帰るために、本格的に活動していく事になった!

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