祠壊しコラム4 「君死ぬよおじさん」考

 さて、「因習村」「祠破壊ブームに至るまで」「壊したんか爺」まで話は終わりました。残るは「君死ぬよおじさん」なのですが、正直主催者はこのミームをうまく語れるか自信がありません。


 なぜなら、このミームはまだ熟成途中の存在だからです。生まれたばかりの「君死ぬよおじさん」の源流がどこにあるのか、主催者はちょっと把握していません。ここからは何となく「そうではないか」という範囲で語っていきます。有識者の方はコメント等で語ってもらえると大変ありがたいです。


 文町氏のポストを分析すると、要は「どうせ叱られるなら爺さんより色気のある男がいい」という趣旨で「無精髭に長髪の喫煙者30代男性」と挙げられています。主催者も色気のある男に叱られたいのでよくわかるのですが、今回爆発的にミームになったこの「色気ある男性像」が何故ウケたのかを考えていきます。


 キャラ造形として、例に出すときに一番わかりやすいと思われるのは『サマーウォーズ』の「陣内侘助」ではないでしょうか。見た目こそミームとかなり違いますが、このミーム化したキャラクターを説明する際に「彼のようなキャラクター」と説明すると納得感はあると思われるので、ピンと来ない方は『サマーウォーズ』を見てください。


 よくよく考えると、都会人の主人公が田舎に行って事件に遭遇し、いわゆる「君死ぬよおじさん」と協力して事件を解決する『サマーウォーズ』にも「因習村ミーム」が存在しているかもしれません。この構図は『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と一緒ですね!


 脱線しかけたので、話を「君死ぬよおじさん」に戻します。


 まずこの男性の正体なのですが、おそらくホラー系統の作品に登場する「霊能者」としての側面があると思われます。文町氏のその後のポストからも「彼なら助けてくれそう」という期待があり、何らかの邪霊に対する手段を知っている可能性があります。


 ここから「祠壊し」では省かれがちな「霊能者」の存在について話をしていきます。主催者はこのミームを「霊能者」と定義づけ、「呪いに対抗する手段」だと考えます。では何故その人物が「無精髭に長髪の喫煙者30代男性」である必要があるのか、という話なのですがその前に「霊能者」について考えていきます。


 今回生まれた祠壊しミームにおいて画期的だったのは「新たに付与された男性像がセクシーだった」こともありますが、物語の役割において彼が「霊能者」という属性を持っていそうだということも大きいでしょう。つまり、因習村ミームに解決者が現れたわけです。


 この手のキャラクターとして主催者がまず思い浮かべるのは『蟲師』のギンコです。体質により定住できず、旅をしながら蟲の害を収めていく能力者です。しかも喫煙者。ここで大事なのは「定住できない」ことと「怪異に対して解決能力を有する」ことだと考えます。


 まず「定住できない」ことで能力者は集団から浮いた存在になります。そこで集団を彷徨いながら「放浪者」という立場に立つわけです。集団の外にいる者だから、集団として守っている祠の害を彼は除去できるのです。そこで「私は他人とは違う」というアイコンが必要になります。


 それが「不精髭長髪」だったり「柄シャツグラサン」だったりするのかなあと勝手に思っています。現代では「喫煙」もそれに該当しそうですね。どっかには金髪のホスト風だったりレディースの特攻服着ている能力者もいるので……。


 簡単に言うと「はぐれ者」になるわけです。これは『サマーウォーズ』の侘助や『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のゲゲ郎も一緒ですね。彼らは見た目のセクシーさだけではなく、その「周囲と相いれない孤高の存在」というところに魅力があったのではないでしょうか。これは主催者の勝手な推測であり、本当のところはどうかわかりません。でも主催者もこういうおじさんは好きだなあ。


 以上で「祠壊しコラム」はおしまいです。まだ語りたいことはありますが、それは総評などで語っていきたいと思います。それでは次回から短評になります。お楽しみに!


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