ONE SUMMER OF ADVENTURE

ハジ

1.プロローグ

 暑い夏の放課後、鐘のを鳴らすチャイムが部活動の終わりを告げると、


真白ましろ先輩、お先に失礼します」


「真白部長、さようなら~」


「うん、さようなら。また明日ね」


 私は二人の後輩を見送り、一人、文芸部の部室に残った。


 広い空間に、たった一人の静かな時間。


 物語を執筆するために使っているノートパソコンを閉じ、座っていた椅子から立ち上がる。


 それから窓の前に立ち、なんとなく外を眺める。


 これが、日課となっているいつもの流れ。


 特にやり残した事があるわけじゃない。


 私はただ、想い出に浸りたかった。


 内気で自分に自信を持てなかった私を変えてくれたあの出来事。


 あの世界で出会った、みんなとの想い出に——

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