第1話 謎の美少女博士

「な、なんですか、あなたは!」

焦りつつ問い、続ける


「止めないでください!!」

と大声で叫ぶ


白衣の少女は手を差し伸べ、言う

「まぁ待ちたまえ、君の自死を止めるつもりはない。」

「ただ先延ばしにしてくれと頼んでいるんだ。」


(先延ばし…?止めに来たんじゃないのか…?)

と疑問に思い、尋ねる


「あなたはいったい誰ですか!何が目的ですか!!」


「たしかに、自己紹介をしないと失礼だな」

白衣の少女は納得したように続ける


「私の名は……謎の美少女博士 X!!!」

と少女はヒーローのようなポーズを決め、


「どうせ死ぬなら最後は人助けをして死なないか?」

とこちらに歩み寄ってくる


変な自己紹介には驚いたが


(人助け………)


迷惑かけて死ぬよりかはその方が良いに決まってる。


「わ、わかり…ました…」


柵を乗り越え、内側に戻り靴を履こうとしゃがんだ時、


「よしよし、グッドボーイだ。」

とXに頭を撫でられる


「なっ!?」

突然の事に驚き、後ろの柵に頭をぶつける


「いてて………」

頭を押さえていた所を、


「大丈夫か、少年?」

とさらに頭をさすられる


少女と距離を離し、言う

「や、やめてください!!」


それに対しXは申し訳無さそうに

「お〜すまないね、そう言うお年頃か。」


「はぁ…」

(いったい何なんだこの子は………迷子………?)


「そうだ、君の名を聞いてもいいかな?」

とXに問われる


「伊石、怜…です…」

自分の名を告げる


「怜君か、良い名だ。」

とXは頷き、

「では早速人助けの内容についてだが…」


Xはこちらに向き直り

「君は『能力者』かな?」

と問いかける


『能力者』と言う言葉を聞いて胸が苦しくなる。


それもそのはず飛び降りをしようとした理由は

自分が才能のない『無能力者』だからだ。


「い、いえ……」

歯切れ悪く答える


「そうか、それなら良かった!!」

Xは怜の背中を叩き、

「まぁ、ついて来たまえ!悪い様にはしないよ!!」

と上がってきた階段を指差す


「は、はい……」

言われるがままにXについていく。


(流されるままで良いんだろうか。)

そんな事を考えたが、もうどうなってもいいと思い

屋上を後にする

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