第18話 Sometime(18)

まあそれでも。



友達とワイワイ遊び回るのはそれなりに楽しかった。



「わ! 見て! すごいの取れた!」



シューティングゲームに夢中になっていたひなたは後ろの友達に声をかけると



「あれ???」



いつの間に一人になっていた。



「も~~~、どこ行っちゃったんだよ~~~、」



文句を言いながらそこを離れると



「ひとり? ね、なんかおごってあげるよ、」



二人組の高校生らしき男の子に声を掛けられた。



「え・・いいです、」



正直ナンパは初めてじゃなかったので、適当にあしらおうとした。



「いいじゃん、ちょっとくらい。 ね、三中の子だよね? よく帰る時見かけるし。 家、このへん?」



二人はしつこかった。



「申し訳ありませんが。 友達がまっているので。」



ペコンとお辞儀をして走り去ろうとした。



すると



「・・ナンパされてんじゃねーよ、」



声がして驚いて振り返った。



つまらなそうな



不機嫌そうな


浩斗がそこにいた。



「・・浩斗、」



いつものようにTシャツにジーンズだったが



祭半纏を羽織って仁王立ちする彼になんだかドキンとした。



「早く、行こう。」



その二人がまだ追って来そうだったので、浩斗は最初から約束していたかのようにひなたの手を取って大股に歩き始めた。



「ちょ、ちょっと・・」



いつもと違って下駄なので早く歩けない。



人ごみを縫うように浩斗はそこを抜けて行く。



雑踏の中なのに



音が聞こえなくなって



まるで二人しかいないような気がする。



浩斗の手があったかくて



ぎゅっと握りしめてくれる手が逞しかった。



「あ、足、痛いよ・・」



新しい下駄を買ってもらったばかりで慣れていなかったひなたは途中でギブアップした。



「え? ああ・・ごめん、」



浩斗はようやく気付いたように立ち止った。



いつの間に



隅田川のテラスに来てしまった。



「あ、いけない・・ちひろたちとはぐれちゃったんだ・・」



ひなたは思い出して携帯を取り出した。



電話をしようとしたが



「・・あとで。」



浩斗は険しい顔でそれを制した。



なんだか



いつもの浩斗じゃないみたいだった。

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