第1381話 やっていることは同じ

 ロンレアの港が見えてきた。


 海からと空からの光景はまるで違う。てか港、結構壊されてんな。パンペールがいるから復興もできていないでいるよ。


「とにもかくにもパンペールを退かさないといけないか」


 パンペールの近くに降りるのは危険なので支部のほうに向かった。


 どこもかしこも変わりすぎて浦島太郎になった気分だ。支部は巨人の村になっていたよ。


 発着場も場所を変えたようで、川側にあった。


 石を積んで高くしているから川が増水しても問題なさそうだが、積み降ろしは巨人がいないと大変そうだ。


 発着場に降りると、人間の職員……ミジックが出迎えてくれた。


「久しぶり。なかなかこれなくてすまないな」


「いえ。大変なことはカインゼル様がやってくれているので支部の運営だけで済んでいますよ」


 支部と言っても貿易場みたいなことが大半。と言うかほとんど? ゴブリンがいないと仕事にもならないんだよな。


 場所を移して最近のことを聞かせてもらった。


 ライングル帝国からの侵略があろうと人の営みは続く。ミヤマラン公爵領からの流れ日々増えており、移住者も増えているそうだ。


 さすがに港町には住み出していないようだが、移住者の町ができているそうだ。


「ロンレア伯爵も忙しくしていそうだな」


「はい。毎日のように領内を回っているそうです」


 そうしないと移住者が悪さしたり好き勝手するからだろう。今は役人も不足しているはず。秩序を守るためにも動き回るしかないんだろうよ。


「ダンたちはどうだ? 上手くやれているか?」


「はい。コラウスからまた何組か越してきました。十五組、と言ったところでしょうか? 来年には三十人を越えそうですね」


 順調に増えているのはいいが、増えると同時に食糧の問題を解決しなければならない。そうしなければ未来は最悪にしかならない。同時並行してやらねばならんのだ。


「ガーグルスが増えてくれないといかんな~」


「今、牧場を作っています。安全とわかったのか、たくさん卵を産んでますよ」


「あんまり産ませるとカルシウム不足になるからエサに貝の粉を入れて食わせておけ。なんかそんなことを聞いたことがある。まあ、にわか仕込みなんでちょっとずつ食わせながら様子を見てくれ」


「わかりました」


「ダンはいるか?」


「何人か連れて港町にいっていると思います。カインゼル様から要望があったので」


「やっぱり港は使えないんだ」


「たまにパンペールが動いて危険だそうです」


「巨人でも何十人と乗れそうなサイズだしな」


 ちょっとの動きでも人なら潰れてさしまう。巨人だって何十倍と大きいパンペールには勝てやしまいて。


「あ、ルースカルガンにカロリーバーが入っているから出しておいてく。オレは港町にいってみるよ」


「わかりました。車出しますか?」


「いや、歩いていってみるよ。いろいろ見てみたいしな」


 自分の足で歩いて自分の目で見る。現場を知らないと指示も承諾も出せない。やっていることはロンレア伯爵と同じだな……。


「ゴロツキもいるので注意してください」


「ありがとう」


 忠告をありがたく聞き、ホームに入って久しぶりに戦闘強化服を纏うことにする。


 町中なのでMP9とグロック17を装備して外に出た。


 一応、人間区と巨人区は分かれており、巨人に踏まれることなく港町の門に向かうことができた。


 門の前も整備され始め、ここに隊商が集まるようだ。


 知り合いの顔はないので門を潜ると、中も隊商の連中がいて賑わっていた。


「この世界のウワサは凄いものだ」


 いや、この世界の人間の行動力が凄いのかな? ロンレアの情報などそんなに詳しく持っているわけじゃなかろうに、こうやって山脈を越えて、長い旅路を乗り越えるんだからな。


 港までは二キロくらいはあっただろうか? 五百メートルも歩くと人の気配はなくなり、破壊された建物も目立ってきた。


 ゴロツキが襲ってくるかと思ったが、そんなこともなく港までやってこれた。


「結構な人がいるな」


 復興要員だろうか? 百人以上の人間が瓦礫の撤去を行っていた。


「タカト!」


 マベルクの声がして振り向くと、少し顔つきがよくなったマベルクが駆けてきた。


「生きてたな」


「別に最前線に立ったわけじゃないからな。ほとんど裏方に徹していたよ」


 こういうところがマベルクを買っている理由だ。


「お前はそれでいい。下手に前に出るより後ろで全体を見て学ぶほうが将来のためになるからな」


 中間管理職よりちょい上の立場になれるヤツは職員でもなかなかいない。なんというか、エリアマネージャー的な存在か? マベルクはいくつの支部を纏めあげれる存在になって欲しいのだ。


「それはそれで歯痒いもんだ」


「一人でやれることは少ない。大きいことを成し遂げたいのなら組織を創るしかない。そして、そこで偉くなるしかないんだ。お前はそれを目指せ。それがお前がやりたいことへの近道なんだからな」


「わかったよ。先生」


 誰が先生だ。まあ、教えているのだからあながち間違っちゃいないか? オレ、もしかしたら教師とかに向いてたのかもな。今さらだがよ……。

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