第1105話 *タダオン* カンデアック大陸
おれたちが向かう先に光の玉があった。
「ルカール、大丈夫なんだろうな?」
少し不安になって先を駆けるルカールに尋ねてしまった。
タカトたちと出会い、世界を知ったようでいたが、まだまだ知らないことが多かった。未知がこんなに恐ろしいものだとは知らなかったよ。
「消える前に飛び込め! 光が薄くなると体が分解されるぞ!」
それはまた不穏なことを言ってくれる。が、光が輝いているなら問題ないということ。
「なら急ぐぞ。ソル、落ちてくるのを受け止めてやれ」
タカトの仲間の毛玉が見境なしに天井から飛び下りてくる。考えあってのことだろうが、度胸がありすぎる。
「チッ。タカトの周りにいるヤツらは覚悟が決まりすぎなんだよ」
ソルも似たようなことを考えていたようで、舌打ちしながらも速度を上げて地面を蹴って毛玉をつかんだ。
「そのまま光の玉に飛び込め! 出た先は魔王軍の要塞だ。我らの同胞もいる。殺さないでくれ!」
望むところ。今度こそ戦士としての力を示させてもらう!
「任せろ! それぞれの間合いを忘れるなよ! あと、獲物の一人占めは許さんからな!」
「お前はルカールの護衛だろう!」
「そうそう。タカトに怒られるぞ」
「おれだって暴れたいんだよ! 譲りやがれ!」
クソ! マーダ族一の戦士が一番活躍できないとかなんの罰だよ! 最前線に立たせやがれ!
文句を叫ぶ暇なく光の玉に飛び込んだ。
一瞬、意識と体感がクルンと回転したような感覚に襲われたが、無理矢理引き戻すと、魔王軍の要塞に出た。
「十時、九時の壁に巨人!」
「十五時に魔物の軍団!」
「空に竜が飛んでいる!」
「背後にも魔物の軍団だ!」
敵に囲まれた状況か。せめて戦いの狼煙はおれがやらせてもらうぞ。
背中に回していたショットガンを引いて十五時にいる魔物に向けて弾丸を食らわせてやった。
「暴れろ! 振るえ! 我らの強さを見せつけろ! 決して折れぬ槍を突き立てろ!」
おう! と、四人が四方に向かっていった。
「ルカール。ここに同胞は何人いる?」
「三十人くらいだ。要塞の外にいる」
「ここを仕切るのは魔王軍の将なのか? 将が守っているようには見えんが……」
これと言って高い建物があるわけじゃない。要塞ってより集積地って感じだ。高い壁もあるし。
「副将の轟鬼ルグオグがいる。わたしたちの半分もないが、そこそこ強いヤツだ。魔王からもらった雷の槍を持っている」
へー。槍か。それはおもしろい。いや、おれたちの半分なら四メートルもないか。短槍にも届いてないかもな。
「まあ、それは毛玉に任せるか。あれもなかなか強かったからな」
おれらの手に乗りそうなサイズだが、スピードは凄まじいものがあった。巨人すら倒せる武器もあるのだから倒してしまうだろうよ。
「おれらは同胞を解放するぞ」
「わかった」
ショットガンを背中に回して門に向かって走り出した。
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