11.
御月堂の言いたいことを汲み取った松下は懇切丁寧に説明してくれた。
世間ではそれが当たり前のことだったのかと理解し、クリスマスはどういうものかと分かった上で、改めて二人に何をあげればいいかということになった。
『私の息子は電車にハマっておりますから、その電車セットをあげようと思います。そういえば、大河様は私の息子と同い歳のようですが、何がお好きでしょう』
そう言われて、たまに訪れた時、お絵描きをしていたことを思い出す。
話すきっかけを作ろうと「何を描いているんだ」と話したが、酷く驚いた上に描いていたものを隠されてしまったことも。
ともかく。
松下に大河がしていたことを言うと「なら、お絵描きセットはいかがでしょう」と提案した。
大河はそれで決まったが、問題は姫宮の方だ。
姫宮もたまに会いに来ても、大河にどうにか話そうと奮闘していたり、安野達と家事をしていたり、部屋にいるかと思えば、ぼうっと窓の外を見ていたりと趣味らしい趣味をしている様子はなかった。
何が好きなのか。
好き、よりも新しい首輪でも用意しようかともふと思った。
思わぬところで再会した際には付けていた首輪。
彼に代理出産を頼んだ時は付けていなかったはずだから、再開するその間に付けたものだろう。
誰かのものにならずに済んで良かったと言えるが、何に対しても無頓着な彼らしい安物のようで、ところどころ脆くなっていた。
そういうことで首輪でもいいと思ったが、あからさまのようで、わざわざクリスマスプレゼントにあげるのもどうかと思い、自身の中でその候補を打ち消した。
じゃあ、何にすべきか。
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