第13話
…………雪菜…
心の中で、その名を呼ぶ。
『見失う前に、雪菜さんは手紙らしきものを見ていたらしいんですが…』
悠弥の伏せられた目は、護衛対象を見失った事への後悔からか。
『佐原さん、雪菜さんの居場所に、何か心当たりはありませんか?』
悠弥のすがるような目に対して瑠璃は、何も言えず身を翻して走り出していた。
いや、
今はまだ答えられなかったと言った方が良い。
雪菜の笑顔を思い出し、自分への不甲斐なさに瑠璃は唇を強く噛み締めた。
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