そっと放つ、そらの意味
茶渋るる葉
第1話
私という人間は常々、くだらないのだと思う。
それが明確に何を意味してるかは、翌々考えたとて、わかりはしない。
つまりは価値を持たない、可能性を行使しない、そういった、漠然とした倦怠が心を覆っている。
人間として、詰まらない。
そのことに対して呆れたりも、傲慢にふんぞり返るわけでもない。
ただ時間がとともに、景色を眺めている。
その光景さえ、さほど入れあげたり、黄昏ることもなく。
ただ単に、これが世界かと一憂しては、息だけをせいぜい吐いている。
生産性はない、才能もない、地位も名誉もどうでもいい。
つまり、肯定手段が一個もない。
感じ取るままに感じ取り、そこから発展的な思想展開をしない。
心は氷のように固く、冷たく、光を通さないように、生きている。
そうして屈折した感慨と、盲点ばかりを積み重ねる人生にどこか安堵しているのか。
この生活が、何もない、何もしない、この生活が。
私には、やはり一番あっているといっていいかもしれない。
人間とは最低限の環境にあろうと、それはそれで受け入れてしまう。
つまりは私もその一種、高望みもなく、生きて、知りたがる事もなく、過ごして。
それがどこか安心する。
それはそれこそが、私の本音でもあり。
決して慣れない生き方をしている訳ではないということだ。
こうして顧みて、改めて、こういった自問自答をしたが。
それさえ、どこかで今の自身に正しいんだよと、何か訴え、何か問いただし、言い聞かせているのだと思う。
私は、やはり、言葉を言葉と見ていて、
それが本当に言葉以上になって思いを超えて、心に触れて、未来を動かすなど。
信じてはいないが。
どうやら今日だけは、それも、儚い灯、空に浮かぶ月のように。
私は孤独を覚えているのかもしれない。
だからこんな憶測を述べている、
こんな推論を
こんな持論を
どこか大丈夫だよって、慰めている。
間違えているから、だろうか。
それとも、何かを目にして、それがじんわりと心の奥底を捉えて、
その残響に、酔いがまわったのか。
ただただ分からない。
どこまでも、私は私であり、それでも心は刻々とどこか変化していたのかもしれない。
人生が終わるとき、
その瞬間になって、多くを思い出して、急に恋しくなるように、
何かが私の中を駆け巡っているのかもしれない。
例えようのない思い、
だからこそ、ここまでいつもの自分で入れないんだと思う。
ただ俯瞰して、ただ眺め見て、そういった、観測がなぜかできない。
それはこれが、未観測の何かで、心に触れるほど、未知であり、
処理できない、何かであるからだ。
今日、わたしは、確かに世界を見た。
そこに変わった何かがあったとは思えない。
でもきっと、見たのだろう。
いいや感じたのだろう。
それは身からこぼれた何かかもしれない、と。
そう思う。
きっと布石を重ね続けたこの数十年、そこから転じた一種の変わり種かもしれない。
その気まぐれを
その身を振るわす、錯綜を。
今日は存分に感じている。
捨てるにも、捨てれない
逃げるにも、振り切れない。
これが、何かであるなら、いつか知れるだろうか。
もしこの私が、どこかの未来にたどり着いたとき、
この一抹の焦燥は形を見せてくれるだろうか。
関係ない、関係ないと思いたい。
だがそれもわたしから出た錆であり、また身から落ちる鱗でもあるかもしれない。
このまなざしを、捨てずに。
ただ今日も、生きようと思う。
世界とは知るばかりではない、時には見つめるだけで、何かを見せてくれる。
だから今は耳を傾けて、世界と触れ合って、
この一瞬を見て過ごそうと思う。
考えこまなくていい。
わたしはもう、見るだけで、何かを知ったように思えたから。
だからあとこれから何十年、私はそのまま、ありのまま、自然体に世界を見てみる。
変わる兆しとは、世界にはない、
あるのは、身のうち、
だから、世界を変えようなんて思わない。
自分の中にある、残った世界の残響をあつめて、それを花になるまで、
育てればいい。
それがきっとわたしを運ぶのだと思う。
だから今は、この散らばった世界から少し離れる。
少し違って聞こえるかな?
いいや、わたしは気づいたんだ。
世界を知り、己を知るわけではないと。
はじまりはいつだって、目を向けてから。
だから今は、その瞳を持ちたい、
だから、世界から少し離れたいと思う。
長い時間をかけて、長い何かをかけて、この目に映る、世界というのものを、
レンズを変えてみてみたいと思う。
いつかは空に消え、いつかは天になり、星となってまたたく。
だからお願いだ、
わたしを一人にしてほしい。
これは世界を知るには若すぎるわたしが、まだ広がる世界に追いつけない。
そんな、どことない畏怖への、逡巡であり、渡り船に乗れない、孤島の民であるからだ。
もしこの先、生きていけるような現実がどこまでもあると、
そうしれれば、きっと何も怖くないだろう。
これはいつか大海原を超えて、皆のもとにたどり着く旅だ、
だから俯瞰して、見過ごして、聞こえのいい音楽ばかりを聴いてしまう。
こんな心根をどうか、そっと見守ってほしい。
わかっている、きっと私には、この先にある未来が、あなたなしでは生きれないと、
どこか勘ぐっているかもしれないって、
それは正しい、だからこうして、言葉にした。
頭をめぐる言葉を文字にして、客観的に自分を見ようとした。
正しいはず、正しいはずだと思う。
でもね、わたしは、はじめて声をだす。
だから、こんなにも拙い、こんなにも美しいとは思えない、
ほんとうに、私そのものなんだ。
ここにある、この羅列ような、心の言葉は、
確かにそれでも声で叫びで、わたしなんだ。
だからどうか、わたしを見つけて、
ここにあるわたしは、きっと誰のもとにも要れない。
誰のもとにも、届かない。
そうは、思いたくない。
こんなにもバラバラな心が理解されると
誰かが分かってくれると
そう思ってる
だからもう一回いうよ。
わたしを見つけて。
世界に一人はいやなんだ。
はじめてわたしは誰かに見てもらいたいって、思ったんだ。
それが兆し、それが世界から離れた意味。
わたしは私を見てほしい。
だから、世界に見つけてほしい。
そのための独り身だ。
ねぇいいでしょ。
こんなわたしでもいいでしょ。
かまってほしくて。
いつまでも隠れてしまう。
そしてみんなが諦めた頃に、泣き出して、
その涙を結局は隠して、
こんなところで名前も出さずに、
訴える。
わたしはそういう人間なんだ。
きっとほんとうに、弱いのかな。
でもね、あの若いころの遊んだ記憶が嫌だったとかじゃない。
大切だから、忘れれないで、また仲間を、探してるんだ。
ほんとうに、こんなんがわたしなの。
孤独だよね、こじらせすぎだよね。
でも、やっぱり、かくれんぼってのは、誰かに見つけてもらえるまでが、
わくわくでドキドキで、それが楽しみだと思うんだ。
だからね、もういいよ。
わたしを見つけて。
それだけ、
見つけたよって、
それだけ、
言ってほしい。
そしたら今度こそ終わったんだって、少し凛々しく家に帰れると思うんだ。
じゃあ。
かくれんぼの続きをはじめるよ。
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