第17話

「今日は帰らなくていいんだ」







週末の金曜日。



珍しく晩御飯を食べると言った彼が、食事を終えたあとにそんなことを言い出した。




「・・・大丈夫なの?奥さん」



「出張って言ってあるから心配ないよ」





最後のお皿を流し終えるのを見計らったかのように、後ろから抱きすくめられた。




「これのどこが愛妻家なの?鳴沢ぶちょー」



「えっ?俺って愛妻家に見られてんの?」




白々しい。


周りにそう思わせるようにさせたのは自分なのに。



「そうまでして愛人が欲しい?」



「酷いなマキは。愛人が欲しいんじゃなくて、俺はマキが欲しいんだよ」




じゃあなんで奥さんと結婚したのよ。

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