第8話

「かっこよかったなー!麻生圭吾!」






翌日のランチ。



予想通りに睦美がドラマの内容について細かく説明してくれた。



頼んでもいないのに。




「あんな長身のイケメンが医者なら、いくらだって入院するっつーの。でもドラマみたいに、患者より先にナースが狙うわよね」




「そんなに面白い?ってか、あのナース役の子の演技、酷すぎだと思うんだけど」




「え!見たの!?」



嬉しそうに体を前のめりにして来る睦美。



「チャンネル変えるとき一瞬だけ。でも一瞬だけなのに台詞の棒読みが気になるって、相当酷くない?」



「あー、鈴原優希ねー。スポンサー絡みで抜擢された新人女優らしいけど、確かにあれは酷いわよね。麻生圭吾が上手すぎるから、本当にザンネンよね。まぁ、あんな女はどうだっていいのよ」




「え、だってナースとの純愛が売りじゃなかったっけ?」



「売ってんのはナースとじゃなくって、麻生圭吾よ。映画メインの俳優だし、ましてや恋愛もののドラマなんてほぼ出ないから、ああいうベタな熱愛シーンみたいなの希少なのよね!」



パスタ伸びない?って心配になるほど、睦美はずっと喋りっぱなしだ。

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