今日も寝ている狼さん

菱刈

第1話 いつも寝ている狼さん

久しぶりに夢を見た

その夢は幼い頃に誰かと川で一緒に遊ぶ夢

俺は昔からあまり夢をみない、そんな俺が久々に夢をみた


懐かしい夢をみた

続きを見ていたいが俺には眠ろうとしても寝れない

俺は今日も寝れないままだ


そんな寝てたい俺のクラスにはいつも寝ている

いや寝過ぎている人がいる

彼女の名前は大狼汐恩おおがみしおん


いつも授業や休み時間、放課後など隙があればいつも寝ている変な人

クラスで3番目に可愛い容姿をしており、成績優秀で人を寄せ付けないオーラがある

一匹狼なところがあり基本一人で過ごしている

その孤高な存在と苗字から周囲からは「狼さん」と呼ばれている


そんな彼女は俺の隣の席で今日も寝ている

いつも睡眠不足なのか、それとも起きてるときがないのかと思うくらい寝ている


俺の名前は出雲旭いずもあさひ

この寝過ぎている彼女のクラスメイト

ひょんなことから彼女と仲良くなり会話をする仲だ


彼女のことは中学から知っている

同じクラスではないがよく目に掛けることが多く

綺麗な灰色で背中まで伸びた髪、豊満で華奢な身体

人形と言う言葉が似合う程の彼女にはファンクラブなどがあり

名を知らない者は居ない程


そんな昔のことを思い出して考えていると昼休みのチャイムがなった

昼食の時間なので食堂に行く

その前に隣で寝ている彼女に頼まれていたことをする

「大狼さん、もう授業終わったから起きて?」

肩を少し揺らして声をかける

「んんぅ?、もうお昼? 眠い」

眠たそうにしつつもしっかりと目覚める大狼さん

「出雲くん、おはよう」

「おはようじゃなくてこんにちはだよ、大狼さん」


目を擦り、のんびりと背伸びをする彼女

皆彼女を狼と呼ぶけれど俺には猫にしか見えない


「今日もいつもより眠そうだけど何してたの?」

「昨日、イベントがあって素材の周回とかキャラの育成してて」


彼女はゲームが好きな様でよくこうやってゲームの話をしている


俺もゲームはしているのでこうして話しかけてくれるのは嬉しいものである

「あぁ〜 あのイベントのボスは硬いし強いから時間かかるよね」

「うん、出雲くんは何してたの?」

「俺は最近新しくでたラノベを読んでたね」

「へぇ?、今度読み終わったら貸して」

「良いけど、それより大狼さん」

「ん?なに?」

「昼食を食べに行くんでしょ?急がなくて良いの?」


話に集中すると周りが見えなくなるらしく

こうして寝る前に頼んだ一緒に昼食を食べると言う約束も忘れている


「あ、忘れてた、行こう出雲くん」

そう言い彼女は俺の手を引き食堂まで走り出した

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