俺たちはバカップルじゃないんだ! 信じてくれよ!〜魔人と魔人殺しのバカップル生活
道楽byまちゃかり
第1話 バカップル
バカップル。
非常識な言動で周囲に迷惑をかけたり、嘲笑されたりするカップルを指す俗語である。
「おい、あれが噂のバカップル。通称モモアオだ」
「うわぁ、今日も引くレベルでラブラブだなぁ」
「当たり前の様に校内でいちゃついてる……」
昼休みの食堂。
俺は今日も今日とて百花をお姫様抱っこしながら優雅な昼ご飯を食べていた。そんな昼ご飯に冷や水を浴びせる様に、周囲の有象無象が俺たちの噂を影でしていた。
「また、くだらない噂をしているな。俺たちバカップルじゃないのに。ねー、モモ。今日もピンクなツインテールが決まってて可愛いな!」
「そうだねぇ! アオたんとは至って普通な関係だもん! 今日もアオたんかっこいい!」
「だな。それに非常識な言動とかしてないしな。誰がそんな噂を」
俺はバカップルが嫌いだ。
だってバカップルは、恥ずかしくなる愛称で呼びあうし、彼女は甘え口調で話すんだろ。オマケに人目を気にせずイチャイチャするし、人前で平気に『好き』『愛している』を多用するのだ。
ああ、想像するだけで心底寒気がする。そんな人種、滅べばいいのにすら思う。
声を大にして言いたい。俺たちはそんなバカップルなんかじゃない! 健全な彼氏、彼女の関係である。
別に二人だけの世界を作っているわけでもない。おそろいグッズなんてミサンガや、携帯や鞄のキーホルダー、ネクタイにカーディガンやパーカーぐらいしかしてない。
ならば、ますます俺たちはバカップルではない。
それじゃ、何故俺たちがバカップルと呼ばれているのか。俺は一つの可能性を推測していた。
それは、俺たちを貶めようとする連中がこんな噂を流した可能性。現時点でこれが一番可能性が高いだろう。
ふざけやがって。そっちがその気ならやってやる。宣戦布告だ。
百花との未来を守るため、百花に悪評を広めさせないため。今、ここで宣言してやる!
「おいお前ら! その噂を俺たちに向けて言っているのなら辞めてもらおう! さもなくば、いかに俺たちがバカップルなのか今ここで証明することになる!」
俺が啖呵を切った後、周りは一瞬にして静まり返った。みんな呆気に取られている、または呆然としていた。
唯一百花だけは、俺の腕の中で頬をほんのり赤くしながら『えへへ……大胆な告白。あたしも大好き』と言って頬擦りしていた。
あれ、なんでこんな空気になっているのだろう。俺なんか変な事でも言っただろうか。ただ、敵に宣戦布告しただけなのだが。
「ダメだコイツら、早くなんとかしないと」
その声に反応して振り返ってみるとそこに
立っていたのは、怒筋をピキピキ表しながら俺たちを腕組み後方で眺めている親友だった。
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