第40話

レトロな雰囲気の落ち着いたカフェで、場違いな声を出す彰と、いたずらを成功させたとでもいうのか、満足そうに笑う桃。


 なんと非常識なと思いながら、開店後すぐと言うこともあり、他の客がまだいなかったことにホッと胸を撫で下ろし、店員さんに頭を下げて2人の元へと向かう。


 「桃、普通に声かけてあげなよ」


 「面白くないことは好きじゃない」


 何を言っているのだと呆れていれば、


 「雪、久しぶり」


 数年ぶりに会う彰が私を見て微笑んでいた。


 「彰、おかえり」


 「ただいま」


 ふわっと薫る匂いに目を向けると、彰の飲んでいたのはココアで、私もさっき飲んだと心の中で呟く。


 「すみません、私もココアください」


 「また飲むの?」


 桃は、そんなにココア好きだった?と聞き、自分はクリームソーダを頼んでいた。


 「彰が飲んでるの見たら飲みたくなった」


 「美味しいよ、ここのココア」


 「へぇ」

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