第13話

「誰」


 「このアパートの住人です」


 ロリータのような格好をした30代位の見た目をしたその女性は、私の登場に嫌な顔をした。


 「瑠威君の何、あなた」


 「ただの隣人ですけど」


 「まさか、ストーカーじゃないでしょうね?」


 「私にはあなたがストーカーに見えますけど。それだけ呼んでも反応が無いのは、留守なんじゃ無いですか?悪いことは言わないから、他の住人に近所迷惑で警察を呼ばれる前に帰ったほうがいいいです」


 「ストーカー??純粋なこの思いを馬鹿にして…。あなた、痛い目に遭いたいの!?」


自分の事を客観視することが出来ていないのか、ストーカーと言う発言に怒りを表して、持っていた傘を振り上げられる。


 「やめなよ!」


 すると、声を張り上げて飛び出て来た早乙女瑠威。


 好意を向ける相手の登場に、その手は止まり顔を赤らめて喜ぶ女性。


 早乙女瑠威は、その女性を見て顔に怒りと恐怖を浮かべながらも私との間にスッと入る。


 「瑠威君、やっと会えたね。私の思い、ようやく届いたのかな?」


 「しつこいよ、君。それに、怖い」


 震える背中。私は、初めて会った時の悪い印象が嘘かのように目の前の男を見た。


 「何度来ても会えないから…」


 「会うわけないでしょ。ストーカーだって気がついてないような人、尚更」


「瑠威君、何で?」


 後ろに回された手で、自分の部屋に入れと指示される。だけど、このまま2人にすることは危険だと思い、他に住人が帰ってこないかと目を配らせるが、気配がない。


 何でと俯き繰り返す女性に、私まで恐怖だと感じる。


 どうすればと考えていると、後ろから低い声が聞こえた。


 「瑠威、待たせたな」


 「…根神さん。遅いよ」


 それはあの日の男性で、警官を連れてやって来る。


 「うちの天才、困らさないでくれるかな」


 街灯に照らされたその顔は、額に血管が浮き出るほど怒りに満ちていた。

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