maison de avenue

雛形 絢尊

第1話

まず最初のニュースでした、とキャスターが澄んだ顔で告げたのが私は妙に不思議でならなかった。

私の部屋の隣人、清瀬が遺体で発見された。

もちろん彼のニュースは大きく報道されていた。

それはこういったものだ。隣に住む清瀬匡史(49)が死亡。死因は究明中であるが、他殺である可能性が高いという事。それ以外はただ私の住んでいるこの場所がテレビに映されているということだけだ。

私は箸置きに置いてある箸を取り、いただきますと朝食を食らう。白飯とインスタントの味噌汁、今朝は失敗した卵焼きだ。少し塩辛い。私はこの部屋に1人で住んでいる。それにしても、今朝は早くから警察官、検察が私の領域の外、壁一枚隔てた場所で大変な捜査をしている。その音はたくさん耳に入る。

シャッターの落ちる音、話し声等その声は様々だ。

もちろん私の部屋にも警察官が尋ねてきた。

インターフォンの音が聞こえ、私は足早に玄関へ向かう。玄関のドアを開けると、身長の低い警察官がいた。彼は警視庁の国平と名乗った。

「ああ、おはようございます。広田さんですね、朝早くからすいません」

はい、と私は答えた。

「隣の部屋の事件のことは?」

存じ上げています、私は答える。

「あ、そうですか。昨夜、何か変わった物音とか?って聞こえたりしましたか?」

「特には何も」

外ではいくつもの人間が出歩いていた。あれもこれもと。それは騒がしく。

私はふと気になることを彼に尋ねた。

「あの、第一発見者って誰だったんですか?」

「あ、この辺に住んでる堀越さんという男性です。

「日課の犬の散歩をしていると、こちらの部屋の方向に向かって犬が吠えたそうなんです。なんだろうと堀越さんは隙間からこの部屋を覗いたそうなんです。それで発見されました」

彼は少し悩んだ結果、「失礼ですが、広田さんは昨夜何をされていましたか?」と私に聞いてきた。

特に私は隠すことがないので、徒歩5分の場所にあるコンビニに行ってから19時には家に着いていたことを彼に伝えた。

そうですか、と彼は言った。

「物音も、何も」

そうです、と私は答えた。

「変な人物も見てないですか?」

「はい、私の部屋からもコンビニまでの道のりでも特に」

「やはり、一階の部屋、怪しい」

「どうかされました?」

「いえ、どのように犯人が侵入したのかと。独り言みたいなものです」

私はうんと頷いた。

「奇妙なことがありましてね、こちらの

メゾン ド アベニューに住む方々、広田さん以外全員いらっしゃらないんですよ」

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