バンドマン!!〜サウンドオブミュージック〜

kasim

サウンドオブミュージック

 サウンドオブミュージック。それは俺が最も感銘を受けた映画だ。


 それは優れた音楽性だけでなく、映画の面白さもとてつもないと感じたものだった。


 そして、その日俺こと大釜蓮おおがまれんは音楽の道を志した。


 近所の楽器店にてバンドマン募集の張り紙を出す。


 そして、紆余曲折を経て、「the kingdom」というバンドが完成した。


 俺はそのバンドのリードギターを担当することになった。


 ボーカルのryoutaは言う。


 「ついに俺たちが結成してはじめてのライブだ。お客の心を掴んで帰るぞ!」


 「ああ!」


 全員準備は万端だった。


 「この大地に足を踏みしめた~♪」


 入りは良かった。しかし、


 俺は二曲目でギターの一弦が切れるというトラブルが起こった。


 それになんだかギターの調子も変だ。


 結果というとライブは散々。最初は30人ほどいたはずだったが俺の不調も相まってか客は最終的に半分ほどになっていた。


 だが。


 「ren。これはお前のせいじゃない。俺たちは確かにこの日のために練習を積んでいた。だがな。こういうお天道様に見放されてしまう日ってのは絶対にあるものなんだよ。」


 ベースのrintaもこう言う。


 「renお前がこの日まで必死に誰よりも練習をして、指を切ってきたのも知ってる。お前の練習はきっと無駄じゃなかったんだよ。」


 俺はこの日この仲間たちと車でぶっ飛ばして心中してもいいとさえ思った。


 それほど仲間の言葉が嬉しかったのだ。


 そして、俺たちは半年後にサンダーフェスのトッパーとして出演することに決まった。


 このバンドでは初めての大規模フェスだ。


 このフェスは俺たちには今後の活動に拍車をかけるための大切なライブだ。


 必ず成功してみせる。そう皆心に誓った。


 そして、ライバルの「red bleach」の出番が終わり、遂に俺たちの出番だ。


 俺は初っ端のから本気で夢中でギターを弾いた。どんどん時が進んでいく。


 「最後の曲です。サウンドオブミュージック!!」


 ryoutaが観客にそう告げる。


 俺は思っていた。この大規模フェスに出ているのもここまで諦めずに付いてきてくれたこいつらのお陰だと。


 サウンドオブミュージックが終わった時、これまで受けたことのないくらい万雷の拍手が起こった。


 さらに公演が終わった後驚くべきことが起こる。


 楽屋に一人の人物が尋ねてきた。


 それは伝説的ロックバンド「white sean」のボーカルkreyだったのだ。


 「初めまして。クレイだよ。君たちの演奏に感銘を受けてね。僕らの所属している事務所に来ないかい?」


 その日は「the kingdom」の伝説的な凱旋ライブとなったのだった。

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