アラート

何気ない日常にアラートがなる

異臭がする毎日に

手探りで忍び込む


探し物をするように

光る糸を手繰り寄せるように

そうやって一歩を踏みしめて

アラートを振り切る


一瞬の出来事を

誰もが見て見ぬふりをする

「ここには何もない」

「そうだね」

中身のない会話が交わされる


耳鳴りをかき消して

頭痛を追い出して

腐った世界を歩いていく


いつかこうやって誰もかれも

潰されてしまう世界になって

異臭がみんなの鼻に届く

そのはず


風を切って

息せき切って?


分からないけど

私は空を飛んでいた


アラートはもうならなかった

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