第97話

リオに掴まれている腕の力を緩めると、それに気づいた彼の力も自然に緩まる。



「……何もしなかったんじゃない、出来なかったんだ。」


彼はアタシがこの場から逃げないと確認すると、腕から手を離した。



「沙良が、俺に対してそういう不信感を持ってるのは分かってた。だけど……、」



リオは頭に手をやると溜息をついた。


それってつまり、



「アタシに飽きたとかではなくて、ただ単に意識下のアタシには触れなかったって事?」


アタシが彼を見つめてそう言うと、


リオはちょっとビックリしたような表情をした。

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