第92話

眠気も勝る眩暈。


隣に座るリオの生乾きの髪に白く長い手足を見せるラフな服装……そして、ボディーソープの香り。


「先に寝て良いのに。」


アタシは彼の方を見ることなく言った。


だって見れなかった。


リオの妖艶な雰囲気が薫りが、夕べ見た夢のようで……。


いつの間にかアタシは両手に力が入っていた。



「いや……、起きてるよ。」



リオはそう言ってアタシの方を向いた。

視線を感じる。分かっているけどアタシは前を向いたままだった。



「どうして?」



彼に聞き返す。

アタシは、夜の表情のリオが知りたい。


そのためには、彼より先に眠るわけにはいかなかった。

だけど一緒にこの時間を過ごす自信も持っていなかった。



リオを好き過ぎるから。


いざとなったらアタシは……逃げてしまうと思う。



ぐちゃぐちゃなココロにもう一つの眩暈が襲っていた。

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