第63話

アタシは父にほとんど引きずられる形で応接室に入る。


その様子にリオは驚いた表情をしたけれどアタシと視線を合わすと優しく微笑んだ。


「……リオ、」


「今日は長い一日だった、沙良のせいで。」



「……ごめんなさい。でもっ……、」



「俺は沙良と籍を入れたいと言ったよ?」


「それはっ、ねえ、もう我慢しなくて良いから。無理にアタシと結婚しようなんて思わないでほしいの!」



アタシはたまらなくなって彼に声を荒げてしまった。



もう、


みじめな思いも、


リオを好きになっていく思いも、


捨てたい。

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