第59話

「諏訪君……、わざわざ来てもらってすまないね。」



浜崎部長は申し訳なさそうに俺を応接室に通す。



「いいえ、久しぶりに櫻木に来たら懐かしく思いました。結構新興住宅が建っていて驚きましたけど。あの、沙良さんは?」



「それが、諏訪君が来る事を伝えたんだが合わせる顔がないと言って……。今まではひとり暮らしをしていたけど今朝いきなり実家に帰って来て。」



「という事はここに彼女はいるんですか?」


浜崎部長は無言で頷く。


俺に合わせる顔がない、とはどういう意味なのか分からなかった。


合わせる顔がないというのは彼女と接点を持つためにしてきた俺の事をいうのではないかと思うのだけど。

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